Beyond your wall with Drogger

ドロガーで壁を越えよう

レーサーの電装ノイズ対策

今回はDroggerの開発の中で得たデジタル機器に対するノイズ対策のお話です。

市販車はメーカーで完全な対策が取られていますが、レーシングマシンはハーネスや電装品の交換など色々な部分がノーマルとは異なっていきます。その際ノイズ対策は必要なのですが、情報があまりないので特に何もしていないことが多いかと思います。

Drogger搭載車に限らずすべての車両で有用です。

プラグとプラグキャップ

プラグとプラグキャップは必ず抵抗入りを使用します。

抵抗入りでない場合、非常に大きな電磁波ノイズが発生します。 プラグの抵抗は、その昔ラジオが主流だったころ、「車が通るとラジオがザーザーいって聞こえなくなる」という苦情が相次ぎ、対策の乗り出した結果の物だそうです。

抵抗なしプラグですとラジオが聞こえなくなるのと同様に、デジタル機器も正常に動作しなくなります。これはECUやデジタルCDI、A/F計などのデジタル機器はほぼ皆同様に影響を受けます。もちろんDroggerも同様です。これは配線が繋がっていなくても近くにあるだけで同じです。

誤動作するかどうかは、デジタル機器の処理内容によっても異なります。時間計測などは比較的鈍感です。敏感なのは電圧などのしきい値による制御です。これらは完全に影響を受けます。

実際の電磁波による電圧変動は5Vの電源に対し数ボルトもあったりするので致命的です。これだけ大きいとアナログCDIであっても、点火時期等に影響が無いとは考えにくくなります。

使用しているプラグが抵抗入りか調べる

通常の市販車用のプラグでしたらほぼ100%抵抗入りです。問題はレーシングプラグです。

一番簡単なのは、テスターでプラグの中心電極と端子間の抵抗をテスターで測ることです。概ね 3K ~ 6KΩであれば抵抗入りです。プラグキャップも同様に測ることができます。

また、プラグメーカーのホームページから調べることができます。

NGK

プラグはレーシングプラグ品番一覧表|NGKスパークプラグ プラグスタジオで調べることができます。赤字はノンレジスターとありますが赤字の製品はありませんので、NGKの最新レーシングプラグはすべて抵抗入りかと思います。

プラグキャップは 2輪車用プラグキャップ/ キャップ&コード|NGKスパークプラグ プラグスタジオにありますが、通常使うものはすべて5KΩの抵抗入りです。

NSRなどで良く使用されるデトカン用 TRS1225-Bも5KΩ抵抗入りです。

今は販売されていませんがEG EGVプラグはどうも抵抗なしです。EG EGVの場合は取り換えが必要です。

DENSO

デンソーのプラグは、 https://www.denso.com/jp/ja/products-and-services/automotive-service-parts-and-accessories/plug/pdf/partnumber.pdfで調べることができます。R/STDの列がRであれば抵抗入りです。 IW06-xxは抵抗なしですのでこのプラグを使用している場合も取り換えが必要です。

その他

プラグキャップはNGKだけでなくアフターパーツメーカー各社から販売されています。使っているキャップが抵抗入りか確認しましょう。

配線

イグニッション周りの電線禁止

プラグとプラグキャップを抵抗入りにするとノイズは激減します。がゼロではありません。特にイグニッションコイル、ケーブルとプラグには数万ボルトの電圧がかかりますのでその近くはノイズが大きくなります。

例えば、イグニッションケーブルにどこにもつながっていない電線を近づけます。するとそれがアンテナとなって電磁波を飛ばします。ポイントは電気を通す線なら何でも良いことです。何か機器に繋がっているかは関係ありません。

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上の写真は、Droggerの電源電圧 5V にノイズが載っているところを撮ったものです。ノイズが乗ると電源電圧が5.6~3.7Vまで変動してしまっています。瞬間的には6~0Vまで達しています。この実験は、抵抗入りのプラグとキャップを使用し、イグニッションケーブルに電線を近づけただけのものです。その電線はDroggerとは繋がっていません。

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出来る限り、イグニッションコイル、ケーブルから他の配線を遠ざけるようにしてください。フレームなどアースに落ちているものは電磁波を遮断しますのでフレームを挟んで裏側に回すなどします。 どのような線もアンテナとなってしまわないように!

被覆や配線の破損

被覆破れや接触不良

配線の被覆破れや切れかかった部分の接触不良なども、ノイズを放射します。Droggerのテストでコイルの一次側のアース不良でノイズが出て誤動作することがありました。実際エンジンも不調だったのですが、Droggerを付けた直後だったので焦りました。(が、よーく考えみると、Droggerが車両を不調にすることは仕組み的にまずないことで、やはり他に問題がありました。) ノイズはイグニッションコイル2次側だけでなく、配線不良などあると1次側からも発生しました。定期的に、1次側も切れかかったりしていないか点検したほうが良いですね。

適当な結線

また、適当(線を撚ってテープで止めただけのような)な配線も接触抵抗が高く、振動などで変化するため半田付けかコネクターにしましょう。

プラグやプラグキャップの消耗

プラグキャップは振動によって差し込みにガタが出てくることがあります。またプラグのガイシにひびが入ってリークすることもあります。プラグが消耗して火が飛びにくくなると、2次電圧が上がってノイズが大きくなります。 この2つも定期点検が必要です。

防水不良

雨がコネクターなどに進入するとリークなどで不調になります。特に純正で防水コネクターになっている部分は、メクラやワイヤーシールが抜けたり破損していないか確認しましょう。発電系がリークするとコネクターが溶けたりしますので、ノイズどころでなく安全にかかわってきます。

下の写真は防水キャップが外れていたために水が入ってリークし、焦げてしまったNSF100のコネクターです。CDIや電装には異常がなくコネクター交換後正常に動作しました。 f:id:bizstation:20171005121630j:plain

まとめ

知り合いにこの話をしたところ、多々思い当たる節があったようで不調の原因がわかったような気がすると言っていました。電気は目に見えなくてわかりづらいのですが、ここに挙げたことを見直していただければマシン本来の性能を発揮してくれるかと思います。

Droggerも快調に動作してくれます。

Drogger詳細は https://www.bizstation.jp/ja/drogger/

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