Beyond your wall with Drogger

ドロガーで壁を越えよう

DG-PRO1RWS SBASとみちびきSLAS対応

先日、u-bloxからのアナウンスでF9Pのファームウェアアップデートがありました。FW HPG1.13です。(いままでは1.12)

新機能として、SBASとみちびきSLAS(サブメータ級測位補強サービス)の受信が追加されました。以前からSLASの受信はしていたようですが、補正データとしては適用されていませんでしたがいよいよ実用化されました。

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SLAS

かねてより、期待のあったSLASです。SLASはGPSとQZSS(みちびき)衛星での測位精度を向上させるための補強信号です。これを適用することで日本の県庁所在地で1m以下の単独測位精度を実現するものとなっています。尚、RTKでは適用されませんのでその測位精度には関係しません。

SLASが適用された様子

赤色のアンダーラインを引いたDMとついたものがSLASの補強信号が適用されている衛星です。

これを書いている時点ではまだあまり詳しく調べていないのですが、ちょっと試した限りでは仕様どおりGPSとQZSSに補正がかかっています。信号構造としてはSBASと同様DGPSとなっているようです。

まずは使えるようになりましたので、今後詳しく見ていきたいと思います。

あとでご案内する更新を適用いただきますと、SLASはデフォルトでONになります。(OFFにするスイッチは現状設けておりません)

SBAS

F9PはいままでSBASが受信できませんでした。2周波の場合、電離層遅延など電波特性の違いを利用して除去できるものがあります。それもあってすぐにはサポートされなかったかもしれません。

SBASは(satellite-based augmentation system:静止衛星型補強システム)は各国の衛星があり、WAAS(アメリカ)・MSAS(日本)・EGNOS(欧州連合)・GAGAN(インド)などがあります。日本のMSAS(国土交通省)はひまわりから送信されていましたが、2020/04よりみちびきの静止衛星からになったとのことです。

各国のサービス衛星はあるものの、データはその地域での地上局での生成になりますので日本ではみちびきのものを利用することになるかと思います。

今まではSBASの補強がないので、単独測位の時はDGNSSになることありませんでしたが、これからはSBASを受信すると単独測位でも3D DGNSSと表示されるようになります。精度に大きな変化は無いかと思いますが、SLASと合わせてちょっといい気分になります。

単独測位のカタログスペックも 1.5mCEPからSBAS 1.0mCEPが追加されました。

補正適用順位

これでRTCM・SLAS・SBASと3つの補正データが受信できるのですが、優先順位もRTCM --> SLAS --> SBASの順です。上位のデータが適用がされた場合は下位のものはされません。RTKの時はSLASもSBASも適用されません。

アップデート方法

以下の3つすべて更新が必要です。

  1. GNSSモジュール(u-blox F9P)のファームウェア 1.13
  2. レシーバファームウェア 1.5.44以上 (弊社製のDMPや通信制御のファームウェア)
  3. Drogger-GPSアプリ 2.4.110以上

GNSSモジュール(u-blox F9P)ファームウェアの更新

大変申し訳ありませんが、旧モデルのDG-PRO1RWはそのままではレシーバのファームウェア更新ができません。弊社で承っておりますのでご用命いただければと思います。

DG-PRO1RWSまたは拡張モジュール付のDG-PRO1RWは、お客様サイドで行っていただくことが可能です。

u-blox F9Pのファームウェア更新は、WindowsPC(Windows 7以上)で行います。環境が無いなど難しい場合は、旧モデル同様、弊社で承っておりますのでご用命いただければと思います。

更新手順

F9Pの更新の前にレシーバファームウェアとアプリの更新を行います。

事前準備

  1. レシーバ起動設定が有効な場合は、「デフォルト設定で起動」に変更します。(新ファームウェアで、削除された設定項目の適用でエラーが発生し正しく起動しないため) (変更方法)
  2. レシーバファームウェア(DMPや通信制御などを処理するソフトウェア)を最新の1.4.30以上に更新します。(更新方法)
  3. Drogger-GPSアプリを最新の2.4.110以上に更新します。(更新方法)

上記更新ができましたら一度レシーバーの電源を抜いてから入れ直してください。

PCでのBluetoothペアリング

以降はWindows PC (Windows 10推奨)での操作です。

まず、Bluetoothのペアリングを行います。すでにペアリング済みの場合は不要です。2台以上お持ちの場合、更新作業中DG-PRO1RWSは1台のみペアリングしてください。2台以上ペアリングするとどちらに適用すれば良いか不明なためエラーになります。

  1. DG-PRO1RWSに電源を接続します。
  2. [スタート]をクリックし、ギアマークの[設定]をクリックします。
  3. [デバイス]-[Bluetoothとその他のデバイス]とクリックします。
  4. [+Bluetoothまたは他のデバイスを追加する]をクリックします。
  5. [Bluetooth]をクリックします。
  6. DG-PRO1RWSが表示されたらそれをクリックします。
  7. [完了]をクリックします。

更新ツールのダウンロードと実行

それでは、F9Pのファームウェア更新を開始します。DG-PRO1RWS専用の更新ツールを用意いたしたましたので、以下のリンクをクリックしダウンロードし実行します。

https://www.bizstation.jp/DroggerGps/f9p_fw/DG-PRO1RWS_F9P_UPDATE_113.EXE

自動的にBluetooth接続し更新を開始します。「Writeing...」のカウンターが動くまでに数十秒かかりますがそのままお待ちください。

終了すると下図のように「Firmware update success」「更新が完了しました」と表示されます。その後、エンターキーなどを押していただくと画面が閉じます。

更新が成功したら、一度電源を抜いて入れ直します。その後1分ほど待ち再度電源を入れ直してください。この1分で内部の起動ファームウェアが入れ替わります。

所要時間は、数分程度ですが、上図のように黄色の文字で「Sending erase retry for sector xxx」と出ている場合は10分ほどかかる場合があります。

複数台お持ちのお客様は、処理の終わったレシーバのペアリングを削除してから、別のレシーバも同様の手順で更新を行ってください。

失敗例

  1. 画面上部に「Paired DG-PRO1RWS too many」と出た場合、複数のDG-PRO1RWSがペアリングされています。1台のみにして再度実行します。
  2. 画面上部に「There is no Bluetooth paired DG-PRO1RWS.」と出た場合、ペアリングされたDG-PRO1RWSがありません。もう一度ペアリングを行ってください。
  3. Error version poll faild.」と出た場合、Bluetooth通信がうまくできていません。一度レシーバの電源を切って入れ直してから再度実行します。
  4. そのほかにも画面下部に「更新に失敗しました」と出た場合は、エラー内容が表示されていますのでそれに応じて対処します。

更新途中で失敗した場合は、その後正常に動作ができなくなります。また、再更新にも失敗します。その場合は、以下のような手順で対応プログラムにて更新を行ってください。

  1. 電源入れ直し
  2. 30秒~1分後に再度電源入れ直し
  3. 30秒~1分後に以下のプログラムを実行

https://www.bizstation.jp/DroggerGps/f9p_fw/DG-PRO1RWS_F9P_UPDATE_113_9600.EXE

このプログラムはファームウェアの更新途中で電源や通信などの問題で失敗し、ROMブート(セーフモード起動)している状態に対応する更新プログラムです。このプログラムでの更新には25分ほどの時間を要します。

バージョン確認

更新ができましたら、一度レシーバを再起動してDrogger-GPSで接続します。バージョンは下図のように表示されます。


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DG-PRO1RWS DMPコンパス精度向上の学習機能など

今回は、DG-PRO1RWSの新しい機能のご紹介です。

主な内容は以下の3点です。

  1. DMPコンパス精度向上の学習機能 
  2. TCPクライアントをレシーバーで実行可能に
  3. RW(S)アンテナ一体型エンクロージャの発売間近!(2020/05/15正式に販売になりました。)

尚、1と2はファームウェア 1.4.23 Drogger-GPS 2.4.104以上への更新が必要です。

DMPコンパス精度向上の学習機能

DMPのコンパスは、農業車両ナビなど低速作業車のヘッディングをえるために重要な役割をしています。

DMPはセンサーモジュール内にある専用プロセッサーによってコンパスの計算が行われます。今回の学習機能はそのプロセッサーではなく、レシーバのメインプロセッサーによるものです。 これによって、専用プロセッサーでの学習と、メインプロセッサーでの学習と2系統の学習機能が搭載されます。

素早い学習

今回のファームウェア更新(1.4.23)でDMPコンパスの誤差を5°刻みで評価・学習する機能が追加されました。従来は、DMPの生の値によっていましたが、周囲の環境による誤差などを除去するために独自の補正を加えることにしました。 従来からある専用プロセッサーよる学習機能も周囲の環境の誤差を取っていきますが、学習までの時間が長く(連続約2時間)、素早い環境変化に対応できない欠点がありました。

今回加えたメインプロセッサーでの学習機能は、GNSSの方位精度・スピードなどを監視し、精度が良い状態であればそれを正としてDMPの誤差を学習していきます。素早い学習が特徴です。

学習条件

GNSSの方位を正としますので、精度が良い状態でなければ学習しません。学習の条件は以下の通りです。

  • GNSSの方位精度 5°以下
  • 速度が2km/h以上かつ1秒以内の回転角が5°以下
  • 速度が3km/h以上かつ1秒以内の回転角が10°以下
  • バック中ではないこと
  • MB(Moving base)でないこと

これらの条件を満たすと、DMPの誤差を学習します。

GNSSとDMP連携の見える化

Drogger-GPSで学習状況を確認することができます。ヨーなどの値に加えて、下図の枠に示したO:という項目が増えました。Oに表示される値は以下の通りです。

内容
数値 GNSSの方位とDMPの方位の差(°)
数値の後ろに B バックを検出中
数値の後ろにL 誤差を学習中
文字の色 :ヘッディングはDMPの値
:ヘッディングはGNSSの値

車両をゆっくり動かしながら見ていただくと、どのようにGNSSとDMPが連携して動作しているかがよくわかります。DMPは主に停止時と極低速、バック時に働いています。

従来のコンパスオフセット設定はどうすれば良いか

従来、コンパスのオフセット値の入力がありましたがこの学習により事実上不要にすることも可能です。しかし、未学習時や複数の車両で付け替えなどでの取付角度差を取るために従来通り残してあります。

オフセット値はデフォルトのゼロのままでOKです。ただ、レシーバの前方面が車両の前方に対してまっすぐでない場合は、そのズレ角を入れていただければと思います。

コラム

今回の機能追加するにあたって、何度も何度も実験を繰り返してきました。その際、おろしたてのRWSで、最初は大分方位に誤差があったので都合が良いと思ったのですが、実験を重ねるうちいにDMP内の学習によってどんどん精度が良くなっていってしまうのです(笑)。
そう、専用プロセッサーの学習には時間がかかります。一時の値だけでは学習されず時間経過とともに精度を上げていく特性です。

今回追加した機能は即効性なので専用プロセッサーの学習が十分でないうちは大きな効果を上げますが、学習が進むとその効果は薄れてきます。ユーザーは短い時間で評価をされる点と、別の車両と入れ替えるなどといったシチュエーションも考慮しそれで良いと判断しています。

取付当初、DMPコンパスの精度があまり良くなくても慌てないでください。色々な方角に移動を繰り返すうちにどんどん精度が上がっていきます。

学習の抑止

レシーバの取付位置を移動せず、ある程度学習できてそれ以上学習が必要の無い場合、学習を抑止することができます。 設定-[TestMode]-[Disable compass offset learning]をONにするとそれ以上の学習を抑止します。

学習値のリセット

大きく環境が変わった場合(例 : 取付の向き変更など) 学習値を一度リセットしたほうが良い場合があります。 レシーバーとBluetooth接続できている状態で、

  1. [...メニュー]-[レシーバ]-[DMPコンパスのリセット]をタップします。
  2. 確認のメッセージが出ますので[OK]をタップします。

TCPクライアントをレシーバーで実行可能に

レシーバのWiFiを使用したNtripサーバー・クライアントに加えてNMEAを出力するTCPクライアントが使用できるようになりました。

測位結果のNMEAメッセージはBluetooth SPPがサポートされたPCやデバイスであれば簡単に受け取れます。WindowsやLinux・MacOS・AndroidなどほSPP対応ですが、唯一iOSだけはSPPがサポートされないため利用できませんでした。そこでiOS側でTCPサーバーを実行することで測位結果を受け取ることが出来るようにいたしました。

もちろん、iOS以外でもTCPサーバーを実行すれば受信できます。AndroidではAgriBus-NAVI、WindowsでRTKLIBのstrsvrなどで受信できます。

また、Ntripクライアントとの同時利用も可能です。電源を入れるだけで(Androidなしで)RTKとTCPクライアントが実行できます。

レシーバでTCPクライアントを実行するには

従来より、AndroidでTCPクライアントが実行可能でしたが、そのオプションに「レシーバで実行」を追加しました。これをONにするとAndroidではなくレシーバで実行します。

RW(S)アンテナ一体型エンクロージャの発売間近!

ようやく皆さんにご案内できる時期になりました。(2020/05/15正式に販売になりました。)

レシーバ・アンテナ・グランドプレーン・006Pリチウム電池・外部電源コネクター・電源スイッチが一体になったRWPを2020/05/15頃発売予定です。

RWP

また、既に発売済みのポールアダプターに加えて、車両などへのマウンターも発売します。

測量ではポールに、作業車ではルーフなどに簡単に取付可能です。車両マウンターは付属の野外用超強力両面テープでルーフなど貼り付け可能です。

車両マウンターでダッシュボードに付けての実験

複数の車両でRWPを共有する場合、車両ごとにマウンターをご用意いただくことで取付取り外しも簡単に行うことができます。

ポールへの取付も簡単

2Way電源

電源は市販の006Pリチウム電池と、従来のUSB電源ケーブルの両方が利用できます。市販の006Pリチウム電池は800mA/hの容量でおよそ3時間の連続使用が可能です。あまり長い時間ではありませんが電源スイッチが付いていますので節電が可能です。

また、長い時間連続的に使用したい場合は、外部電源コネクターに従来のUSB電源ケーブルを接続可能です。006P電池と外部電源はスイッチで切替できます。一方のみ電源接続している場合はON/OFFスイッチと同様な動作になります。スイッチ回路は防水で、逆接防止回路も内蔵します。

既にRW、RWS、RW+拡張モジュールをお持ちのお客様へ

既にRW(S)をお持ちのお客様用にエンクロージャのみの販売と、ケーブル短縮加工も承ります(要 弊社への送付)。

エンクロージャキット(電池は含まれません)

ケーブル短縮加工は行わなわずに外に出すことも可能です。

長いケーブルのままで取り付けた場合

拡張モジュール付の場合は、レシーバの厚みが異なりますので、オプションのスペーサーを足すことで収納可能になります。

拡張モジュール用スペーサー

 価格

(正式に販売になりました)

RWP用のグランドプレーンは、従来販売しているものとケーブルを通す切り欠きが異なります。そのままでは使用できませんのでご注意ください。(弊社での後加工はお受けできません)RWPエンクロージャに含まれるものをご使用いただければと思います。

品名 内容 価格(税抜)
RWP (DG-PRO1RWSを含む)全部入り完成品 89,800
RWPエンクロージャ グランドプレーン+スイッチ付きエンクロージャキット
(お客様による組込 + RWSの場合はアンテナ底面のマグネット取り外しも必要)
14,800
RWPコンバート作業 ケーブル短縮加工(アンテナと電源ケーブル)+ アンテナマグネット取り外し + 組込作業 6,980
RWP-PLA 伸縮ポールアダプター(発売済) 1,980
RWP-MNT 車両マウンター 2,480
RWP-SPC 拡張モジュール用スペーサ 1,480

006Pリチウム電池は市販品をお求めください。(弊社テスト品

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DG-PRO1RWS 高精度スタティック測位をする

今回は、DG-PRO1RWS(以下RWS)のRAWデータと国土地理院の電子基準点の観測データとRTKLIBを使用して、後処理で高精度センチメートル級スタティック測位をする方法をご紹介します。

「スタティック測位」は、直訳は定点測位ですが、ここではリアルタイムに補正データを使用するRTKではない、後処理による測位として説明します。

この記事は、DG-PRO1RW とRWSのどちらでも有効です。

この記事は古く、最新のDrogger-GPSアプリの操作に適合しなくなっています。最新は以下のDrogger Processorユーザズガイドをご覧ください。

Drogger Processor ユーザーズガイド - Beyond your wall with Drogger

追記 2022/03/20
BizStationで開発した高精度 static基線解析ソフトウェア Drogger Processor がリリースされました。 この記事で紹介していた内容が驚くほど簡単に行えるようになりました。 drogger.hatenadiary.jp

概要

RTKはリアルタイムにセンチメートルレベルの測位が可能で便利ですが、常に基準局の補正データを受信する必要があります。ところが、山岳地帯でモバイル通信ができなかったり、近くに利用できる基準局がなくこれから基準局を作るような場合は、補正データを受信することができません。

そこで、活躍するのが後処理によるスタティック測位です。RWSで観測データをログに取り同時刻の電子基準点の観測データを使って後処理により高精度センチメートル級の測位が可能です。

タイトルではスタティック(静止)測位としていますが、キネマティック(軌跡)測位も同じ方法で可能です。

山岳地帯で測位するような場合は、位置を知りたい場所での時刻を正確にメモしておいてください。後処理での測位結果からその時刻の位置を求めます。

基準局のためのアンテナ位置測位の場合は、数時間(さらに何回かの)の測位結果の平均を取ってより正確なアンテナ位置を求めます。

必要なもの

  • DG-PRO1RWS + Android + Drogger-GPSアプリ
  • 国土地理院の電子基準点の観測データにアクセスするアカウント
  • Windows PCとRTKLIBソフトウェア
  • 国土地理院のtar.gz形式の圧縮データを解凍するソフトウェア (7zipなど)

それぞれの役割

DG-PRO1RWS + Android + Drogger-GPSアプリ

この組み合わせで、現場での観測データをログに取ります。

国土地理院の電子基準点の観測データ(GEONET)

国土地理院の電子基準点ではGNSSを使って、GPS QZSS GLONASS Galileoの観測を行っています。これらはGEONET(GNSS連続観測システム)と呼ばれています。 GEONETの観測データは国土地理院から誰でも無償でダウンロードすることができます。この観測データと、現場での観測データを使って搬送波位相を利用した高精度測位をします。尚、ダウンロードには事前にアカウント登録が必要です。

RTKLIBソフトウェア

RTKLIBは高須先生が開発された、フリーで使用できるRTK測位に使用するソフトウェア群の総称です。今回使用するのは、RTKCONV.exeとRTKPOST.exeの2つです。

RTKCONV.exeはRWSの観測データ(RAWデータ)をRINEXと呼ばれる共通データの形式にフォーマットを変換します。

RTKPOST.exeは、以下の3つのデータを入力し、搬送波位相を使った計算をし測位結果を出力します。衛星軌道データは電子基準点の観測データとともに、国土地理院のサイトからダウンロード可能です。

  1. GEONETの観測データ
  2. 衛星軌道データ
  3. RTKCONVで変換した観測データ

データとプログラムの関係図(左から右へ処理)

事前の準備

RTKLIBのインストール

RTKLIBは以下のページで公開されています。しかし慣れない方には少し難しいでしょう。 http://www.rtklib.com/

以下をクリックすると、2.4.3 b33のzip形式をGithubからすぐダウンロードできます。

DOWNLOAD_RTKLIB_2.4.3 b33

このzipファイルを開くと、RTKLIB_bin-rtklib_2.4.3というフォルダがあります。このフォルダごと例えばデスクトップにコピーしてください。インストールはこのコピーだけで、インストールプログラムを実行する必要はありません。

デスクトップにコピーしたところ

DG-PRO1RWSに最適化したRTKLIB設定のインストール

以降で使用するRTKCONVRTKPOSTDG-PRO1RWSに最適化した設定ファイルを用意しました。以下をダウンロードし、中の2つのファイルを上記RTKLIB_bin-rtklib_2.4.3配下のbinフォルダにコピーします。

https://www.bizstation.jp/DroggerGps/rtklib/rtklib_settings.zip

コピーしたファイル

これで、RTKLIBのインストールは終了です。

7ZIPのインストール

お使いのコンピュータに、tar.gz形式の圧縮ファイルを解凍するソフトが無い場合は、7ZIPという解凍ソフトをインストールします。 ダウウンロードは以下から行ってください。 https://forest.watch.impress.co.jp/library/software/7zip/

国土地理院アクセスアカウントの取得

https://ssosv.gsi.go.jp/piss/Attention.aspxにアクセスして利用規約に同意して進めます。

うまく行かない場合は、FAQ(よくあるご質問)などを参照してみてください。質問は、お問い合わせにて問い合わせてみてください。

最寄りの電子基準点を探す

  1. アカウントが取得できたら、電子基準点データ提供にアクセスして[電子基準点 観測データ取得]をクリックします。

  2. ログイン画面が出たら、取得したユーザー名とパスワードを入力して[ログイン]をクリックします。

  3. 以下の画面が表示されたら、[稼働中]にのみチェックを付けます。(画面が表示しきるまでに少し時間がかかります)

  4. 地図を拡大し、観測したい場所に最も近い電子基準点(緑の四角アイコン)を探し、そのアイコンをクリックします。

    局番号と局名称が表示されます。あとで検索に便利ですのでこの番号は控えておいてください。

尚、この電子基準点は観測点から10Km以内が理想です。距離が離れれば離れるほど精度が落ちたり、Fixしないといったことになります。

AndroidからPCへのデータ転送方法を用意する

観測データはAndroid端末に保存されます。RTKLIBによる処理はPCですので、データを転送するしくみを準備します。

転送する方法は、大きく分けてGoogleドライブなどを経由して行う方法と、AndroidとPCを直接USBケーブルで接続して行う方法があります。GoogleドライブはほとんどのAndroidですぐ使えることと出先からも転送できますので、以降の説明はGoogleドライブでの方法をご案内します。

Googleドライブを使用するには、Android端末で使用しているGoogleアカウントのユーザー名とパスワードを入力する必要がある場合があります。事前に把握しておいてください。

RWSによる観測とRAWデータのロギング

スタティック測位に使用する観測データをRAWデータ(生データ)と呼んでいます。Drogger-GPSを使用して簡単にRAWデータを取得することができます。

RWSを設定する

まず、Drogger-GPSアプリは最新にしてください。古いアプリでは必要な項目がないなどします。(アプリの更新方法

  1. Drogger-GPSを起動します。
  2. ギアマークをタップして設定を開きます。
  3. [...メニュー]をタップし[デフォルトに戻す]をタップします。
  4. [GNSS (衛星測位システム)]をタップします。GPS and QZSS GLONASS Galileo を有効にします。Beidouは必ずOFFにしてください。(国土地理院の観測データにBeidouは無いため)
  5. [計測・更新レート]をタップし[1Hz]を選択します。
  6. 設定を終了します。

これで準備が整いました。 それでは実際の観測と処理を進めます。

観測とロギング

測位全般に言えることですが、アンテナはグランドプレーンを付け出来るだけ高い位置にします。ポールや三脚を使い地面から1.5m以上確保しましょう。地面や石、テーブルの上といったところでは正確な測位はできませんし、全くFixしないなどします。

基準局を作る場合は、周囲360°、最低でも仰角15°以上には何もない場所へのアンテナの固定が必要です。

また、精度を求めるには出来るだけ長い時間の測位が良いわけですが、時間が長いと非常に大きなデータとなり、ファイルコピーや計算にも時間がかかります。最初は10分程度の小さなデータで試してみることをお勧めします。

観測開始

  1. Drogger-GPSを起動します。
  2. [Start]をタップして接続を開始します。
  3. しばらく測位を続け十分な数の衛星を捕捉し安定するまで待ちます
  4. ギアマークをタップし [RTK]-[Rawデータを記録する]をONにします。
    [Stop]ボタンの下に Rawと表示されていれば、ロギングされています。(最新版はRAWとだけ表示されます))

Rawデータは非常にサイズの大きなデータです。Android端末のBluetooth能力が低いと処理が間に合わないものもあります。その場合DMPとSateliitesの表示をOFFにしてください。Rawデータ以外の不要なデータ転送が停止され能力不足を解消できます。

観測終了

  1. 観測が終了したら[stop]をタップします。

ログのコピー

  1. ギアマークの横のフォルダアイコンをタップします。

  2. [xxxxx.ubx]と最後にubxと付いたデータを長押しします。

  3. 共有アイコンをタップし、共有先一覧から[ドライブに保存]をタップします。
  4. アカウントとフォルダを選択して[保存]をタップします。

Googleドライブアプリの設定で、「Wi-Fi経由でのみファイル転送」が有効な場合WiFi接続がされていないと転送されませんのでご注意ください。

複数の観測ポイントがある場合、観測開始からこのログのコピーまでを繰り返し行います。

GEONET観測データの準備

ここからの処理はすべてWindows PCでの処理です。

データのフォルダの準備

データをコピーするためのフォルダを準備します。 ここでは、デスクトップのRTKLIB_bin-rtklib_2.4.3フォルダの下にdataという名前のフォルダを作成します。

  1. デスクトップのRTKLIB_bin-rtklib_2.4.3フォルダを開きます。
  2. binフォルダが見えると思いますが、その付近の何もないところを右クリっクして、[新規作成]-[フォルダ]をクリックします。
  3. 名前をdataに変更します。

拡張子の表示

以降で扱うファイルは、特殊な拡張子が使われています。条件によっては拡張子が隠されて見えなくなりますので常に見えるようにしておくと便利です。

  1. RTKLIB_bin-rtklib_2.4.3フォルダを開きます。
  2. 上部の、[表示]タブをクリックします。
  3. [ファイル名拡張子]にチェックを付けます。

観測データダウンロード

  1. ブラウザで電子基準点データ提供へアクセスします。
  2. [電子基準点 観測データ取得]をクリックします。
  3. ログインID、パスワードを入力し[ログイン]をクリックします。
  4. [同意する(提供サービス画面へ)]をクリックします。
  5. 地図から前記で調べた基準点を探しクリックします。
  6. 選択一覧タブに目的の基準点が表示されたら、[ダウンロード]をクリックします。

  7. [任意時間のデータダウンロード]の[開始日時]と[終了日時]を現地観測した時間が含まれるように設定します。
  8. [衛星]からGRJEを選択します。RINEXバージョンは自動的に3.02になります。
  9. [任意時間データのダウンロード]をクリックします。

  10. 観測ファイルと衛星軌道情報ファイルのそれぞれの[ダウンロード]をクリックし2つのデータをダウンロードします。

データの解凍とコピー

  1. (ファイル)エクスプローラにてPCのダウンロードフォルダを開きます。
  2. ダウンロードした、xxxxx.tar.gz ファイルとxxxxxx.gzファイルをそれぞれ開いて、中のファイルを、上記で作成したdataフォルダにコピーします。

合計5個のファイルがコピーされます。(ファイル名は最後の文字、o g q l n 以外は異なってOKです)

電子基準点アンテナ位置データの取得

RTKLIBでデータ処理する際に、基準局のアンテナ位置を指定する必要があります。ここで電子基準点のアンテナ位置が記録されたファイルをダウンロードします。

このファイルの中は年初からの日々のデータとなっていますが、一番最後の最新のデータのみ使用します。

  1. https://terras.gsi.go.jp/pos_main.phpを開きます。
  2. [電子基準点]から目的の基準点を選択します。
  3. [ダウンロード]をクリックします。

  4. 日々の座標値ファイル xxxxxx.posをクリックします。ダウンロードが開始されます。

  5. (ファイル)エクスプローラにてPCのダウンロードフォルダを開きます。
  6. xxxxxx.posファイルをメモ帳で開きます。
  7. 一番下までスクロールし、最後の日のアンテナ位置をメモします。

  8. 右から、高度、経度、緯度でそれぞれE以降を取り10倍(E+01)または100倍(E+02)します。 (例 緯度 36.239029396 経度 137.98455596 高度 648.03662885)

RTKLIBによるデータ処理

これから説明するRTKLIBのプログラムにはさまざまなオプションがありますが、事前にコピーしていただいた設定のまま基本的に何も変更する必要はありません。

GoogleドライブからPCにデータをダウンロードする

  1. ブラウザで以下のURLにアクセスします。
    https://drive.google.com/drive/my-drive
  2. 左のマイドライブをクリックし、中央ペインからAndroidで保存した xxxx.ubxファイルを探します。
  3. xxxx.ubxを右クリックして[ダウンロード]をクリックします。
  4. ダウンロードしたxxxx.ubxファイルを上記で作成したdataフォルダにコピーします。

観測データ(Rawデータ)をRINEXに変換する

  1. デスクトップのRTKLIB_bin-rtklib_2.4.3フォルダを開き、その下のbinフォルダを開きます。
  2. rtkconvを開きます。 (不明な発行元といった警告が出来る場合がありますが[詳細情報]をクリックし[実行]を選択します)
  3. 下図の①から④を順に設定していきます。

     ①をクリックしdataフォルダの.ubxファイルを選択します。
     ②をクリックしdataフォルダを選択します。
     ③ u-bloxを選択します。
     ④自動的に入力されたままでOKです。
  4. [Covert]をクリックします。小さなファイルの場合すぐに終わりますがそれでOKです。
    不安な場合はもう一度[Covert]をクリックしてください。上書き確認の[Overwrite]ボタンが出れば変換されたファイルが生成されています。

位置計算をする

ここまでで計算に必要なプログラムとデータの準備ができました。いよいよ、RTKPOSTを使用して搬送波位相を使用した位置計算を行います。

  1. デスクトップのRTKLIB_bin-rtklib_2.4.3フォルダを開き、その下のbinフォルダを開きます。
  2. rtkpostを開きます。
  3. 下図の①から④を順に設定していきます。

     ①をクリックしdataフォルダの.obsファイルを選択します。
     ②をクリックしdataフォルダの.xxoファイルを選択します。
     ③順に、dataフォルダにある最後が g q n lで終わるファイルを指定します。
  4. [Options...]をクリックします。

  5. [Positions]タブを選択し、[Lat/Lon/Height(deg/m)]を選択し、「電子基準点アンテナ位置データの取得」で得た、緯度・経度・高度を入力します。
  6. [OK]をクリックします。
  7. [Execute]をクリックします。

Options
以下の項目は変更することでFIXし易さが変わりますので試してみてください。

タブ 設定名 内容
Setting1 Filter Type Forword(順方向)よりCombine(双方向)の方が処理時間がかかるがFixし易い
Setting1 Elavation Mask 測位点によるが25°前後で変えてみる
Setting2 Min ration to Fix Ambiguity デフォルト3から下げていくとFixし易くなるがミスFixが多くなるので注意

測位結果を見る (.posファイル)

それでは測位結果ファイル(.pos)を見てみましょう。

  1. dataフォルダを開きます。
  2. posファイルを右クリックして、[プログラムから開く]をポイントし[メモ帳]を選択します。メモ帳の候補が無い場合は、[別のプログラムを選択]をクリックして一覧から[メモ帳]をクリックします。

少しスクロールすると図のようにきれいに整列したデータが見えます。タイトル[Q]列は、測位ステータス表示で、1はFIX2はFLOATです。 左から 日付・時刻・緯度・経度・楕円体高・RTKステータスの順です。

エクセルなどに取り込めばfixだけの絞り込みや、緯度・経度・楕円体高の平均値などが計算できます。

基準局のアンテナ位置を求める場合は、上空の衛星配置を変えて測位するために何回かに分けて複数回計測し、平均を求めるなどすることをお薦めします。

基準局のアンテナ位置の決定

ここで求まった位置は、電子基準点の「日々の座標値」を使用していますので「今期」です。一般的には基準局のアンテナ位置は「元期」で指定されます。セミ・ダイナミック補正を使用して元期に変換しましょう。

drogger.hatenadiary.jp

補足情報

DG-PRO1RWSを基準局として後処理する

ここまでは、上記は電子基準点を基準局としての後処理について説明いたしましたが、後処理の基準局は電子基準点に限定されません。 他の搬送波測位が可能なレシーバ(DG-PRO1RWS)も基準局として使用できます。ただし、基準局のアンテナ位置はわかっていなければなりません。

DG-PRO1RWSを基準局として使用する場合は、RAWデータだけでなく衛星航法メッセージも含めることができます。含めたい場合は[設定][RTK][衛星航法データも加える]をONにします。これは、基準局または移動局のいずれか一方で記録すればOKです。

基準局はRAWデータまたはRTCM3をロギングし、rtkconvを使用して.obsファイルに変換します。その際、衛星航法メッセージは.navファイルとして出力されます。

最後に

RTKLIBの使い方などは(すみませんがビズステーションではサポートできませんので)以下をご覧ください。 RTKLIBの日本語マニュアル

後処理での測位は、なかなか手順がたくさんあって容易とはいいがたいものです。時間があったら、RAWデータと国土地理院のアカウントを入れれば一発で計算してくれるツールをつくりたいと思っています。

最後に素晴らしいソフトウェアを提供されている高須先生に感謝です。

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Droggerの詳細・ご購入は https://www.bizstation.jp/ja/drogger/

DG-PRO1RWS AgriBus-NAVIで使う その2

今回は、DG-PRO1RWS(以下RWS)で新しく追加された内蔵Ntrip クライアントを使ってAgriBus-NAVIでRTKを利用する方法をご紹介します。RWS をAgriBus-NAVIでお使いのお客様からのリクエストをいただきました。

概要

従来からあるAgriBus-NAVIでの使用方法は、Drogger-GPSアプリで補正データをインターネットから受信し、RWS へ送信するものでした。

今回ご紹介する方法は、Drogger-GPSアプリを経由せず、RWS自身が直接インターネットから補正データを受信します。これによるメリットは以下の点です。

  1. 運用時にDrogger-GPSアプリは不要で、AgriBus-NAVIを実行するだけで済みシンプルになる。
  2. Drogger-GPSを実行しなくて済むことでAndroidの負荷が(わずか)軽減される。(Drogger-GPSのバックグラウンド時のCPU負荷は非常に少ない)
  3. AgriBus-NAVIを実行する端末はインターネットにアクセスできなくとも良い。代わりにRWSが接続するWiFiがインターネットにアクセスできれば良い。

逆にデメリットは、

  1. RWSが接続する(インターネットに繋がった)WiFiが必要。
  2. P2P通信による基準局の利用はできない。
  3. RWSに設定を保存して使用するため、頻繁に設定を変更するのは面倒。

といったもので、デメリットの解決は、

  1. AgriBus-NAVIを実行する端末または、別のスマートフォンなどでテザリングを有効にし、RWSが接続できるようにする。
  2. P2Pによる通信は利用できないので、基準局がP2Pのみの場合、補正データを中継サーバー経由でも受信可能なように設定する。または、補正データ配信サービスを契約する。(無償の中継サーバrtk2goの登録方法 内蔵Ntripサーバー
  3. 設定変更が必要になるのは主にDMPのオフセット設定。取付の向きや傾きのオフセットなどが変わらない様に、車両への取付場所などが決まり固定できてから利用する。
    複数の車両で共有するような場合は、アンテナ高さや取付向きなどを揃える。または、複数の設定をDrogger-GPSアプリで保持し、車両替えの都度その設定をレシーバーに適用する。

などで回避または緩和することができます。

尚、必ずしもこの方法が優れているというわけではございませんので、環境や好みに合わせて、従来の方法かこの方法かを選択いただければと思います。

また、ここでの例はAgriBus-NAVIですが、他のアプリなどで直接Bluetooth接続されるような場合もほぼ同様の手順で利用できます。

事前の準備

設定に入る前にスマートフォンなどでテザリングを有効にしてください。その際、入力を楽にするためにSSIDは短く、パスワードは長めの数字のみなどにするようお薦めします。

うまく設定するために重要なこと

設定の前に以下を必ず行ってください。ここでの説明の前提条件としています。

  1. RWSのファームウェアを最新にする。(2020/04/11 Ver 1.3.20) (更新方法)
  2. Drogger-GPSアプリを最新にする。(2020/04/11 Ver 2.4.96) (更新方法)
  3. Drogger-GPSの設定をデフォルトに戻してから設定をはじめる。(戻す方法)
  4. RWSの起動設定をデフォルトに戻してからはじめる。(戻す方法)
  5. レシーバの起動設定は、結果通知を必ず確認する

f:id:bizstation:20200411133220p:plain:w400
結果通知サンプル

DMPを正しく動作させるために重要なこと

DMPの方位を正確に出すためにレシーバ本体とアンテナの取り付け時に以下の点を確実に行ってください。

  1. レシーバ本体の取付(アンテナ除く)は周囲に磁気の影響がない場所を選ぶ。磁気の影響があるかどうかは市販の方位磁石(100円ショップなどのもので十分)で、取り付けたい場所で正しく方位を示すかどうか確認する。
    f:id:bizstation:20200413201955p:plain:w200
  2. レシーバ本体の取付前に電源の入った状態でXYZ各軸を中心に±2回転させてから取り付ける。車両などへの取付前に、電源を入れてからなるべく取付位置に近いところで、ヨー・ロール・ピッチの各方向それぞれ̟±2回転づつ回してください。こうすることで磁束密度の最小値や最大値などがわかり磁北の計算が可能になります。行わなった場合は実際の走行時の値で磁北が計算がされていきますが色々な向きに走行してようやく正しく方位を示すようになります。
  3. アンテナは後輪より前に取り付ける。ハンドルを一杯に切って旋回する場合、後輪より後ろはオーバーハングで移動の向きが逆方向になることがあるため、移動方向判定ミスの要因になります。

設定方法

では具体的な設定方法をご案内します。

設定する

  1. Drogger-GPSを起動しギアマークから設定を開きます。
  2. [NMEA出力]をタップし[TCPクライアント]を有効にします。
  3. [GGA] [VTG] [RMC] [PSAT_HPR]にチェックを付けます。
  4. 最初の階層に戻って、[GNSS(衛星測位システム)]をタップし、お使いの基準局に合わせた衛星を選択します。
  5. 最初の階層に戻って、[ヘッディングと傾斜補正]をタップし、[方位ローパスフィルタ] [DMPまたはMBコンパス] [傾斜補正を有効にする]の3つをONにし[アンテナ取付高さ]を入力します。
  6. [ボトム面] [前方方向]の順に取付方向を指定します。
  7. 最初の階層に戻って[RTK]をタップし[移動局]をONにし、[移動局用キャスターホスト]にお使いのキャスターの情報を入力します。
  8. [レシーバー上のNtripシステム]をタップし[レシーバーのNtripを使う]をONにし[WiFiアクセスポイントSSID]と[WiFiパスワード]を入力します。

ここまでの手順の実際の動画です。


【Drogger】NtripクライアントでAgriBus-NAVIで使う

接続して動作を確認する

設定を終了しDrogger-GPSで接続して設定に問題がないかどうか確認します。

  1. Ntrip status で [Running]と表示され正しく通信できているかどうか?
  2. 緯度・経度・標高・移動方位の値が緑色で表示され補正適用が有効化どうか?

ここまでで問題があった場合は、「設定する」に戻って設定と動作確認を行います。

次に、取付オフセットを設定します。

  1. 車両に取り付けた状態で、車両を平らな場所で前方を真北に向けて止めます。
  2. DMPモニター内のf:id:bizstation:20200120180219p:plain:w32をタップし、3つすべてにチェックを入れて[OK]をタップします。
    f:id:bizstation:20200413205423p:plain:w250

これでDMPの取付オフセットが設定されました。

ここまで問題なければ設定した内容で起動するようレシーバに保存します。

レシーバーの起動設定をする

  1. Bluetoothが接続された状態でメイン画面の ... メニューをタップし、[レシーバ] - [起動設定]をタップします。
  2. GNSS settings DMP setteing ともに[現在の設定で起動]を選択し[OK]タップします。
  3. [... Chnage reciever startup success! ...] というメッセージが出たことを確認します。もし出なかった場合はもう一度手順1からやり直してください。
  4. Drogger-GPSを終了し、レシーバーの電源を入れ直します。電源は3秒ほど抜いた状態を維持してください。

尚、設定を変更した場合はこの「レシーバーの起動設定をする」を再度行ってください。これを行わないとレシーバーの電源を切ると元の設定に戻ってしまいます。(Drogger-GPSで接続する場合はそれで問題有りませんが、使用せずに直接他のアプリで接続する場合は必須です)

これでRWSの設定は完了です。

AgriBus-NAVIで動作を確認する

  1. RWSの電源を入れます。
  2. AgriBus-NAVIのギアマークをタップし、[GNSS位置情報取得元]で[Bluetooth接続型GNSSを使用]を選択し[OK]をタップします。
  3. [........ , Bluetooth GNSSの接続]をタップし、「DG-PRO1RWS0x」をタップして選択します。
  4. ナビアイコンをタップして起動時の画面に戻ります。
  5. 接続できたかどうかRWSのBluetoothLEDなどで確認します。

可能であれば、RWSを水平に回転させナビ画面が回転するか確認します。回転すればDMPの方位が有効にできています。

また、RWSをそのままの位置で傾け、前後または左右に画面がわずかですが移動するか確認します。移動すれば傾斜補正が有効です。

これですべて終了です。

以降、スマートフォンのテザリングをONにし、RWSの電源を入れればすぐにAgriBus-NAVIが利用できます。

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DG-PRO1RWS 日本テラサット ネットワーク型GNSSデータサービスを使う

今回は、DG-PRO1RW(S)で日本テラサット(株)の ネットワーク型GNSSデータサービスを使う方法をご紹介します。

概要

このデータは国土地理院の電子基準点からの補正データに加えて、近傍の複数の電子基準点から算出される仮想基準点(VRS)の補正データを、日本のほとんどのエリアでリアルタイムに利用できます。

実際にDG-PRO1RWSにてここ長野県で使用してみましたが、すぐにFixし快適にRTK測位できました。

VRSのマウントポイントは複数ありますが、DG-PRO1RWSで使用できるRTCM32(MSM5)*1では、GPS, GLONASS, QZSSがサポートされています。

VRSサービスでは、アンテナ関係のメッセージレートが5秒になっています。通信量の削減を図られている点に好感が持てました。

設定

ネットワーク型GNSSデータサービスを申し込むと以下のような情報が送られてきます。 (今回の情報は仮アカウントでのものです。正式申し込みの場合用語が異なる可能性があります)

項目 Drogger-GPSでの設定項目名
IPアドレス 192.168.250.23 ホスト
マウントポイント VRS_RTCM32(MSM5) マウントポイント
ポート 2101 ポート
ユーザID bizstation ユーザー名
パスワード abcdefg パスワード

この情報に基づいて、DG-PRO1RWS + Drogger-GPS で移動局として使用する設定をご案内します。

  1. Drogger-GPSの設定を開きます。
  2. [...メニュー]をタップし、[デフォルトに戻す]をタップします。
  3. [GNSS(衛星測位システム)]をタップしGPS and QZSS GLONASS Galileo を有効にし、一つ戻ります。(これ以外はOFFにします)
  4. [RTK]をタップし[移動局]を有効にして[移動局用キャスターホスト]をタップします。
  5. 送られた来た情報をもとに各項目を正しく入力します。(2022/05/16追記 マウントポイント VRS_RTCM32(MSM5) ポート:5003でGalileoもサポートされるようです
  6. [位置の送信(GGA)]-[送信の有無と間隔]で「10秒間隔で」を選択します。

以上で設定は終了です。DG-PRO1RWSに電源を入れ[Start]をタップします。 以下の画像は実際にネットワーク型GNSSデータサービスを使用した時のものです。

とても簡単に基準局が利用できる上、全国で使えるのは素晴らしいですね。また、通信量が削減されている点もいいですね。

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DG-PRO1RWS | ZED-F9P搭載 | 2周波 RTK-GNSS | Bluetooth5.0
¥69,800 (税別 BizStationサイト)
u-blox ZED-F9P GNSSモジュール搭載 2周波 RTK-GNSSレシーバ 。受信チャンネル数184 GPS みちびき(4機フル対応) GLONASS BeiDou Galileo 同時受 ...
詳細・購入 問い合わせ 会社情報
DG-PRO1RWS | ZED-F9P | 2周波 RTK
¥69,800
(税別 BizStationサイト)
u-blox ZED-F9P GNSSモジュール搭載 2周波 RTK-GNSSレシーバ ...

*1:マウントポイントにMSM3と付くものがありますが、DG-PRO1RWSではサポートされませんので使用できません。

DG-PRO1RWS 内蔵WiFI Ntrip クライアント ほか

f:id:bizstation:20200402133905p:plain DG-PRO1RWS単体でNtripクライアントを実行できるようになりました。この機能はDG-PRO1RWSまたはDG-PRO1RW+拡張モジュールのファームウェア とDrogger-GPSアプリを最新にしていただくことでご利用いただけます。

他にもこの更新では以下の機能が追加されました。

  • 内蔵NtripサーバーとDrogger-GPSのP2P通信の併用
  • NtripステータスLEDによる、RTKがFixしているかどうかの表示

WiFI Ntripクライアント

NtripクライアントはWiFIを使用してDG-PRO1RWSが直接Ntripキャスターと通信します。最初にDrogger-GPSを使用して設定を行いレシーバー内に起動設定を保存します。 あとは、DG-PRO1RWSの電源をいれるだけで指定したNtripキャスターと通信しRTK測位を開始します。

WindowsなどPCで

従来はBluetooth経由でしか補正データを渡す仕組みしか無いため、Windowsなどでシリアル通信(Bluetooth SPP)で測位結果を得る場合、同時に補正データの送信も行わなければなりませんでした。

補正データを送る仕組みのないアプリケーションを使用するには、何かと工夫が必要でした。

このWiFI Ntripクライアントを利用すると、補正データを送信する必要がなくなり、Bluetoothは測位結果を得るのみのために使用できます。 これで従来からあるシリアルでNMEAを受信して処理するほとんどのアプリケーションで、RTKとDMPを使用した高精度な位置情報をそのまま得ることができます。

Androidで

Androidでもアプリが直接Bluetooth接続しNMEAを受信して動作するものがたくさんあります。この新機能によりアプリは従来のままで、RTKとDMPを使用した高精度な位置情報を利用できます。

AgriBus-NAVIで

多くのDG-PRO1RWSのお客様が使用されているトラクターなどのナビゲーションシステムのAgriBus-NAVIも同様です。AgriBus-NAVIとの接続は単に「Bluetooth接続型GNSS」としていただくだけでRTKとDMPを使用した高精度な位置情報を利用できます。

Drogger-GPSアプリは設定時以外、使用する必要がなくなります。(P2P通信で補正データを受信する場合を除く)

設定方法

まず、Drogger-GPSを最新(2.4.92以上)にし、DG-PRO1RWSのファームウェアを最新に更新(1.3.18以上)します。 ここでの説明はDG-PRO1RWSの起動設定、Drogger-GPSの設定ともにデフォルト状態として説明します。設定に不安がある場合は以下を見てデフォルトに戻すことをお薦めします。

Drogger-GPSの設定をデフォルトに戻す

  1. ギアマークをタップして設定を開きます。
  2. ...メニューをタップし[デフォルトに戻す]をタップします。

WiFI Ntripクライアントの設定

  1. Drogger-GPSを起動し、ギアマークをタップして設定を開きます。
  2. [GNSS(衛星測位システム)]をタップして利用したい衛星を選択します。
  3. 戻って[RTK]をタップします。
  4. [移動局]をONにし、[移動局用キャスターホスト]にご利用されているNtripキャスターの情報を入力します。  ここまではAndroidでNtrupクライアントを実行する場合も同様です。
  5. [レシーバー上のNtripシステム]をタップします。
  6. [レシーバのNtripを使う]をONにし、[WiFiアクセスポイント(SSID)]と[WiFiパスワード]を入力します。
  7. 設定を終了し、[Start]をタップしてDG-PRO1RWSに接続します。

動作の確認方法

Drogger-GPSのメイン画面上のNtrip StatusをONにします。 [Type]にNtrip client on receiverと表示されているか確認します。on recieverが重要でレシーバーで実行されていることを示します。 ちなみにDrogger-GPSで動作するNtrip Clientはon Androidと表示されます。 f:id:bizstation:20200402122111p:plain:w400

[Local Address]はレシーバーのアドレスを示しています。

ステータス

ステータスは以下のように遷移します。また合わせてレシーバーのLEDランプの状態も示します。

f:id:bizstation:20200402124752p:plain:w339

順序 状態 ステータス表示 Nrip LED
1 未実行 Not started 消灯
2 WiFi接続試行中 Wifi connecting 2Hz点滅
3 WiFi接続OK
Ntrip casterへ接続中
Connecting 1Hz点滅
4 データ受信中 RTK Fixなし Running 間欠点滅
4 データ受信中 RTK Fix Running 点灯
5 停止中 Closed 消灯
- 接続再試行の待機中 Wait for retry WiFi接続待機の場合は 2Hz点滅
Ntrip caster接続待機の場合は1Hz点滅
- 測位待ち Wait for GGA 1Hz点滅
(GGAを送信する設定の場合で、測位できていないため測位を待っている状態)

Drogger-GPSで表示されるNtripステータスの更新間隔は1秒です。レシーバーのLEDランプは即時変化します。

正常に運用が開始されましたら、たまにNtripLEDが点灯状態で運用確認ができます。

Bluetoothの切断と監視モード

レシーバー上のNtripクライアントはBluetoothを切断してもそのまま動作し続けます。

再度Bluetoothを接続すると、レシーバー上のNtripクライアントの動作の有無を調べ、動作していれば監視モードとしてレシーバーの初期化をせずに監視だけが行われます。
Bluetooth接続状態で設定を変更した場合は監視モードを中止し、設定内容でレシーバーを動作させます。
Drogger-GPSが行うレシーバーに対する設定は揮発性でレシーバーの電源を切ると初期状態に戻ります。

次項で説明する「レシーバーの起動設定変更する」を行うと初期状態ではなく設定した内容で起動されます。

通信などのエラー処理と自動回復

エラーは大きく2つに分けて処理されます。

  1. 設定のエラー
  2. 通信経路などのエラー

認証エラーなど明らかに設定の問題と思われる場合は再試行することなくClosedに移行します。 また同時に[Status]の下にエラーの概要が文字で表示されます。

一同うまく通信が開始されたあと、不通になった場合は自動で接続が再試行されます。再試行間隔は約10秒です。
たとえば、Ntripキャスターの運用側が一時的に運用を停止したとします。 送信エラーになったらそれまでのセッションは破棄します。その後、新しい接続を10秒おきに試行します。 運用が開始されれば自動で再接続されそのまま運用を継続します。

レシーバーの起動設定変更する

せっかくAndroidなしでNtripクライアントを動作できますので、電源を入れただけでRTKが開始できたら便利です。

また、必要なNMEAを有効にする設定も合わせてご案内します。デフォルトではGGAしか出力されませんので、TCPまたはUSBのNMEA出力をで有効にし必要なメッセージを選択します。TCPまたはUSBの機能はAndroidでの物なので無用に見えますが、これをすることでレシーバーのNMEAを有効にできます。

  1. まず前述の設定を行いうまくNtripクライアントが動作していることを確認します。
  2. 設定-[NMEA出力]-[NMEA出力方法]をタップし、[TCPクライアント]をONにします。
  3. 一つ戻って[NMEA Message Type]をタップし、必要なメッセージにチェックを付けます。(必要最小限にしてください。多すぎるとBluetoothの能力オーバーする場合があります)設定を終了します。
  4. Bluetoothが接続された状態でメイン画面の ... メニューをタップし、[レシーバ]-[起動設定]をタップします。
    f:id:bizstation:20200124132709p:plain:w300
    f:id:bizstation:20200411163355p:plain:w200]
  5. GNSSの[現在の設定で起動]を選択します。
    f:id:bizstation:20200402130014p:plain:w250
  6. DMPの補正等を利用した設定を行っている場合はDMPの[現在の設定で起動]を選択]し、[OK]をタップします。

尚、デフォルトの起動設定に戻したい場合は、手順3で[デフォルト設定で起動]をタップしてください。DG-PRO1RWSの出荷時設定に戻ります。

以降、電源を切って入れ直した際に、指定時の設定で動作します。

その他の更新

内蔵NtripサーバーとDrogger-GPSのP2P通信の併用

My基準局で、rtk2goのNtripキャスターを利用されている方は多いかと思います。rtk2goですが、月に数度程度停止していることがあります。どうもメンテナンスではなく異常停止のようです。

rtk2goにアクセスできない場合、原因がrtk2goにあるかどうかは別のネットワーク(携帯電話など)でhttp://rtk2go.com:2101/にブラウザでアクセスしてみるとわかります。正常であればソーステーブルが表示されます。

このような状況を改善するため、内蔵Ntripサーバーとサーバーと併用してDrogger-GPSのP2Pも使用可能にしました。移動局は、Ntirpキャスター経由とP2Pダイレクトの2つのチャンネルでMy基準局を利用できるようになります。どちらか一方に問題があってももう一方で補正データを受信できます。

詳しくは、内蔵Ntripサーバーの記事をご覧ください。

DG-PRO1RWS 内蔵WiFi +Ntrip サーバー - Beyond your wall with Drogger

RTK FixでのLED表示

右から2番目のLグリーンLEDは、NtripサーバーとMBの状態表示に使われていましたが、RTK移動局で使用される場合はRTK がFixしたときに点灯するようになりました。

レシーバのNtripクライアントを使用していない場合は、Fixで点灯しそれ以外では消灯します。

内蔵WiFiのMACアドレスの表示

Reciever Versionの最後の項目に、内蔵WiFiのMACアドレスを表示するようにしました。WiFiルータなどでMACアドレス制限する場合などでMACアドレスを知る必要があるためです。通常は下のSTA Macの値がルータに接続するMACアドレスです。 f:id:bizstation:20200402173411j:plain:w400

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Drogger データをDashWareで動画合成する

f:id:bizstation:20200309152937p:plain

今回はDrogger(SL001)で記録したデータを動画に合成する方法のご紹介です。

動画の合成はGoPro社のDashWareでの紹介です。DashWareは元々GoProのものでではなかったようですが数年前に買収されたようです。DashWareは無償で配布されています。

DashWareはWindows用のソフトです。残念ながらMac用はリリースされていないようです。尚、大変申し訳ありませんがDashWareの使い方や不具合などのサポートはビズステーションでは行えませんのでご理解ください。

概要

DroggerのセッションデータをCSV形式で保存し、そのデータをDashWareのメータなどのコンポーネントで表示し動画に重ね合わせます。Droggerで行うことはCSV形式での保存することだけです。そのほかの作業はすべてDashWareで行います。

DashWareは汎用的に出来ているのでさまざまなデータを取り込むことが可能です。しかし、そのためにはデータがどのような物なのか(データプロファイル)をDashWareに登録しなければなりません。また、どのように表示するか(テンプレート)なども自分で構築する必要があります。

今回、ビズステーションで行ったのは、Drogger用のデータプロファイルとテンプレートの提供です。データプロファイルとテンプレートがあれば、動画とデータの位置合わせを行っていただくだけですぐに合成データが完成します。

それでは実際の使い方をご案内します。

DashWareのインストール

  1. 以下のサイトにアクセスし、ダウンロードをします。

    http://www.dashware.net/dashware-download/

    f:id:bizstation:20200309131347p:plain

    図のように3つのチェックを付けて[DOWNLOAD NOW]をクリックします。

  2. ダウンロードしたDashWare_1.9.1.exeを開いて、インストールを開始します。 すべてデフォルトのままで進めます。最後の[Create Desktop Shortcut]をチェックするとデスクトップにショートカットができて便利です。
    f:id:bizstation:20200309132113p:plain:w400

Droggerテンプレートのインストール

次にDrogger用のデータプロファイルとテンプレートをインストールします。

  1. 以下よりDroggerテンプレートをダウンロードします。

    https://www.bizstation.jp/droggerGps/dashware/Drogger_DW_template.EXE

  2. ダウンロードしたDrogger_DW_template.EXEを開いて、インストールを開始します。

  3. インストールが完了すると、下図のようにメモ帳が開きインストール完了と表示されます。

    f:id:bizstation:20200309133241p:plain

DroggerでCSVデータを作成する

CSVデータはAndroidで作成したものをWindowsPCにコピーする必要があります。コピーにはさまざまな方法がありますがここではGoogleDriveを使った方法をご案内します。尚、AndroidはWiFiでGoogleDriveにアクセスしますのでWiFiが使える状態で行ってください。また、Googleドライブアプリが必要です。インストールされていない場合は、Playsストアにてインストールしておいてください。

今回の対応にあたりCSVの出力項目を増やしています。DroggerアプリはVer 2.0.115以上が必要です。

  1. Droogerを起動しでデータ一覧を開きます。
  2. 転送はWiFiで行いますので、画面上端を下にスワイプしクイック設定でWiFiを有効にします。
  3. 合成したいデータを探して長押しします。
  4. ...メニューから[CSV形式で共有]をタップします。
    f:id:bizstation:20200309134743p:plain:w400

  5. ファイルの保存が終了すると、共有アプリの一覧が表示されますので、[ドライブに保存]を選択します。

  6. フォルダ名を確認し、[保存]をタップします。

これでCSVデータを作成は完了です。

Windows PCでcsvデータをダウンロードする

ではつぎにGoogle Driveからパソコンにcsvデータをダウンロードします。

  1. Chrome(ブラウザ)を起動します。
  2. 上端にあるタブの右横の+マークをクリックして新しいタブを開きます。
  3. 右上のGoogleアプリをクリックし、[ドライブ]をクリックします。
    f:id:bizstation:20200309155716p:plain:w400
  4. [マイドライブ]から先ほど保存したフォルダを開いて、保存したcsvファイルを探します。
  5. csvファイルを右クリックして[ダウンロード]をクリックします。

これでcsvファイルのダウンロードは終了です。ダウンロードされたファイルは通常[ダウンロード]フォルダにあります。

動画の準備

動画も操作するWindowsに事前にコピーしておきます。

動画の合成

いよいよ合成です。

合成の手順をビデオにしてありますので以下をご覧ください。慣れれば数分*1の操作時間です。

youtu.be

ゲージと値について

表示されているゲージはDroggerで表示しているものとは異なっています。これはDashWareで作成したゲージのためです。 また、値についても以下のような制限がありますのでご理解ください。

  1. ラップタイムは50Hzのデータ単位で計算されます。そのため、Droggerで見たタイムと最大0.04の差が出ることがあります。
  2. ベストラップは、DashWareの計算によります。ショートカットした周なども対象となってしまうため、Droggerで見たベストラップと異なる場合があります。
  3. 先頭と最後の周はデフォルトでは除外となっています。問題がある場合は、[Synchronization]タブの[Edit Data Settings...]で変更してください。

今回のテンプレートには、サスペンション、A/F、油温、水温などのゲージは含んでいませんが、ご自身で作成し追加することも可能です。

よりかっこいいテンプレート作って公開いただけると嬉しいです。

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*1:動画の保存時間を除いた操作の時間です