今回は、農業情報設計社さんのAgriBus-NAVIのGPSとしてDG-PRO1(RWS)を使用する方法を説明します。
通常のGPSを利用するAndroidアプリはLocation情報のみを取得して動作しますが、AgriBus-NAVIの場合はレシーバーからの詳細なメッセージ(NMEAメッセージ)を必要とします。
追記 (2020/01/20)
2020/01/20にDMP内蔵 2周波RTK-GNSS DG-PRO1RWSが発売になりました。この記事はDG-PRO1RWSも考慮した内容に修正されました。AgriBus-NAVIにはDG-PRO1RWSのご利用をお薦めします。
追記 (2020/04/16)
RWSをお使いの場合はここで紹介する方法とは別の方法もありますので合わせてご覧ください。
しくみ
NMEAメッセージをAgriBus-NAVIが取得するには、主に以下の2つの方法が用意されています。
Drogger-GPSでは、両方の方法で行うことができますが1の方法はDrogger-GPSの有益な機能が利用できませんので、2の方法でご案内します。
内部ポート経由(TCP通信)でNMEAメッセージを受け取る方法では、Drogger-GPSとAgriBus-NAVIを一緒に動作させます。Drogger-GPSですべてを管理できますので、自動再接続機能やロギングなどDrogger-GPSの機能を100%そのまま利用できます。
(RWSの場合は1の方法でもRWSの機能すべてを利用可能です)
設定
設定の前に、DG-PRO1(RWS)の説明書通りにDrogger-GPSのインストールと設定を終えていることが前提です。
ここでは上記に加えて行うことを説明します。
内部ポート経由でDrogger-GPSからAgriBus-NAVIにNMEAを送信する
- AgriBus-NAVIを起動します。
- 左下のギアマークのアイコンをタップし設定を表示します。
- [GNSS位置情報取得元:]をタップして[内部ポート通信]を選択し[OK]をタップします。
- [TCPホスト & ポート設定]をタップし[localhostを使用する]にチェックを入れ、[TCPポート番号]に 8620と入力し、[OK]をタップします。
- [直前の画面に戻る]をタップし設定を終了します。
- AgriBus-NAVIを終了します。
続いてDrogger-GPSの設定をします。
- Drogger-GPSを起動します。
- アクションバーのギアマークをタップし設定を開きます。
- [起動と外部アプリ]-[Bluetooth接続後に起動するアプリ]をタップし「AgriBUS-NAVI」を選択します。
- 戻って[NMEA出力]-[NMEA出力方法]をタップし、[TCPクライアント]をONにします。
- [TCPクライアント設定]を選択します。
- [ホスト (Name or IP adress)]をタップし、localhostと入力します。
- [TCPポート番号]をタップし、8620と入力します。
- 設定のトップに戻り、[ヘッディングと傾斜補正]-[方位ローパスフィルター]を有効にします。
- RWSの場合は[DMPコンパス]をONにします。
- RWSの場合は[傾斜補正を有効にする]をONにします。
注意点
- RWSのDMPコンパスと傾斜補正を使用する際は、[取付状態とオフセット]のすべての項目を正しく設定してください。詳細はデジタルモーションプロセッサーの記事をご覧ください。
- 方位ローパスフィルターはAgriBus-NAVIの「平滑化時間」と同じ目的のものです。方位ローパスフィルターを有効にした場合、平滑化時間は0msecでOKです。
- RWSで傾斜補正を有効にした場合、AgriBus-NAVIでの傾斜補正は不要です。
- 方位ローパスフィルターは非常に有効です。速度が遅いほど強めに設定してください。
RWS以外のモデルでは、Android内蔵センサーコンパスを有効にできます。Android内蔵センサーコンパスはAndroidのジャイロセンサーなどを使って静止時に車両の向きを計測するためのものです。ただ、デバイスによってはジャイロセンサーが無いものもあります。そのためどのデバイスでも正確にでるわけではありませんのご了承ください。もし正しく動作しないデバイスの場合は、内蔵センサーコンパスはOFFにしてください。
使い方
以下の手順をする際に、DG-PRO1(RWS)の電源を事前に入れておいてください。
高精度で受信するための取付
Drogger-GPSは「Navigation」にある「水平推定位置精度(m)」で精度のご確認ができます。空が開け周囲に樹木・建物などが無い場所で、正しく取り付られていれば、以下のような精度になります。
モデル | 状態 | 値(m) |
---|---|---|
DG-PRO1 | 3D | 0.3~0.7 |
DG-PRO1RWS | Float | 0.05~0.3 |
DG-PRO1RWS | Fix | 0.01~0.02 |
このような値になるまでに時間がかかるようでしたら、A-GNSSを有効にし、Bluetooth接続時に端末がインターネットにアクセスできるようにしてください。短時間で非常に多く(20以上)の衛星を補足します。Bluetoothの接続が完了したらインターネットは不要です。
DG-PRO1のアンテナ性能を引き出す取付方法をご案内します。
- 車両のなるべく高い位置に設置する。
- 下図のようなグランドプレーンを設ける。グランドプレーンより高い位置に導電性のものが無い様にする。(導電性のものとは、金属、カーボンファイバー、人体、水分を含むものなど)
- ケーブル取り出し口は上にしてグランドプレーン中央に垂直に取り付ける(RWは除く)。取付ステーなどは樹脂製で、グランドプレーンから5~10mmの隙間を開ける。(RWSは除く)
写真のグランドプレーンは、0.3.mm厚のアルミ板(ホームセンターで購入)を直径11cmにハサミでカットしたものです。取付ステーは、2mm厚のアクリル板を、はんだごてで温めて90°に曲げたものです。
レシーバ設定はデフォルトのままで通常は問題ありません。
Android端末の向きと車両の向きの補正
Android内蔵センサーコンパスが有効な場合、コンパスの指す向きがそのまま車両の向きになります。車両に対して斜めに取り付けられている場合はその角度を補正する必要があります。
補正は、[設定]-[取付状態とオフセット][コンパスオフセット]で行うことができます。
具体的な例をご説明します。
- Drogger-GPSで航空写真のマップを表示します。
- 写真のように道路に沿って車両を止めます。
- コンパスをタップすると、針が動くモードとゲージが回転するモードが変わりますので針が動くモードにします。
針がデバイスの方向で、道路の路肩線が車両の方向です。針を右に回すににはプラスの値を、左に回すにはマイナスの値を[コンパスオフセット]に入力します。
接続がうまく行かないとき
どちらの方法も接続がうまく行かない場合は、
これで2つのアプリが完全に終了しますので、再度接続を行ってみてください。
より良く使うヒント
使用しないアプリのアンインストールと無効化
Bluetooth通信はデータの取りこぼしがあると、その後うまく通信できないことがあります。取りこぼしの原因はCPU過負荷などで処理が間に合わないなどです。 CPU過負荷を防止するには可能なかぎり不要なアプリをアンインストールか無効します。
また使用前に、Android OSのアプリ履歴ですべてのアプリを削除するのも有効です。
アプリの起動負荷
また、アプリの起動処理もCPU負荷が大きくなりますので、Bluetooth通信の開始時に他のアプリの起動をしないようにするのも有用です。
尚、起動時の通信が正しく開始されればその後にBluetooth通信が切断されてしまうことはほとんどありません。
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