Beyond your wall with Drogger

ドロガーで壁を越えよう

DG-PRO1 静止~低速域の安定性向上 LSS機能

DG-PRO1 グランドプレーン

今回はDG-PRO1静止~低速域の性能向上のお知らせです。

DG-PRO1はモータスポーツなど高速域の性能は高い評価をいただいていますが、最近はウォーキングや農業機械ナビなど低速で使われるお客さんも増えています。

そんな中で農業設計社さんのAgriBus-NAVIで使用されているお客様から、低速域での安定性についてのご要望をいくつかいただきました。それらのご要望をもとに低速域での安定化機能(Low Speed Stabilizer)を追加いたしました。

LSSは方位精度を改善する機能で、主に以下の2つで構成されます。

  1. 方位の安定性を向上させるローパスフィルター
  2. 静止とバック(後退)時に正確な方位出力をするビルトイン・センサーコンパス

方位精度設定画面

LSSの出力は、モックプロバイダーかNMEAを通じて他のアプリにも反映されます。

また、今回は加えて低速域での安定性に不可欠なアンテナグランドプレーンの提案をしたいと思います。

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Buit-in sensor Compass (ビルトイン・センサーコンパス)

最初に静止時の方位についてです。

車両が静止しているときや極低速時は、GNSSではどちらを向いているか不定で方位を示すことができません。そこでAndroidのセンサーを使って車両の向きを示すのがビルトイン・センサーコンパスです。Androidを車両に固定すれば、停止時でも車両の向きを示してくれます。

では実際に、 静止時のコンパス機能がわかる動画です。一つの端末でAgriBus-NAVIとカメラを画面分割して回転がわかるようにしてあります。 *1


Drogger GPS Compass

このコンパスは、Androidのジャイロセンサー、加速度センサー、磁気センサーを使って計算されます。ただ、デバイスによってはジャイロセンサーが無いものもあります。そのためどのデバイスでも正確にでるわけではありませんのご了承ください。

コンパスの示す方向は画面を横長にした場合は以下の画像のような向きです。

コンパスは、デバイスの向いている方向を指しますが、車両の進行方向に対する取付角度や環境による誤差などを調整するために角度のオフセットを入力できます。通常は変化しないかと思いますので固定値での入力です。*2

方位ローパスフィルター

次にゆっくりと移動している際の方位です。

車両の場合低速時にそんなに急に向きを変えることができないはずですが、GNSSの示す生データの方位は精度に応じてグラグラし不安定で実態に対して過敏になっています。

また、低速で左右に車両が揺れるような場合、進行方向の移動より横方向の移動が大きくなることも出て来ます。

そこで実際の方位の変化を示すようにレスポンスの良いローパスフィルター*3を実装しました。このフィルターにより実際の方位変化に近いものにすることができました。このフィルターは10km/h以下で方位に対しのみ機能します。

左右揺れに対して非常に有効なことを実験した動画です。


Drogger-GPS RTKと方位ローパスフィルター

前記のコンパス出力もこのフィルターを通ります。そのため、静止時から動き始めもスムーズに方位が変化していきます。車では急な方向転換はありませんが、ウォーキング用途などでは止まった状態から急に違う方へ歩いたりします。そのような時でもレスポンス良くとてもスムーズに変化します。

グランドプレーン

ここでのグランドプレーンとは、アンテナの下に地面と平行に置く金属板のことです。山や建物からの反射波の影響を低減させます。DG-PRO1はさまざまな用途で利用されるため、決まったグランドプレーンの提案は難しいため行ってきませんでした。

AgriBus-NAVIで利用される方はトラクターの屋根等に比較的グランドプレーンの設置がやり易いのではないかと思います。実際、高精度での計測はグランドプレーンがとても重要でこれ次第と言っても過言はありません。別のGNSSかと思うくらいの違いが出ます。

簡単に手にはいることから100円Shop Seriaでなべの蓋や丸形の金属容器をいくつか用意しました。

色々な形状・材質で実験していますが、実はグランドプレーンの模索は現在進行中です。

材質ではスチール・ステンレス・アルミ、形状では平面・ボール形、厚みでは0.3mm~2mmほどまで様々です。ベストは模索中ですが、いずれにしてもどれも、平面の中央に置くことで間違いなく効果がありました。

取付の方向とグランドプレーンとの隙間は平面の場合ほぼ変わりありませんでしたのでいち早くお伝えしておきたいと思います。

項目 内容
取付向き ケーブルを上に向け垂直
グランドプレーン直径 11cm ~ 16cm
グランドプレーンとの隙間 5~10mm
位置 DG-PRO1を円の中心に置く

この写真のものは、厚さ0.3mmのアルミ板(ホームセンターで購入)を直径11cmにハサミでカットしました。ステーは2mm厚のアクリル板をカットしはんだごてで温めて90°に曲げたものです。

直径は11cmあれば非常に効果があり、さらに16cmになるとわずかながらより効果が大きくなりました。

ケーブルの取り出し方向と、グランドプレーンからの隙間は従来お伝えしてきた内容と異なってしまっていますが、地面と平行なグランドプレーンとしての金属とそうでない付近の金属の違いがありますのでご容赦ください。

ケーブルの取り出し方向は、天地が反対でも問題有りませんが、ケーブル取り出しを上にした方が効果が大きくなりました。

効果実験

AgriBus-NAVIでのフィルター効果の実験風景です。当社にはトラクターも農地もありませんので、手押し台車にDG-PRO1を載せてのテストです。取付位置も低く回りに建物がありGNSSの環境としてはあまり良いところではありませんが、その方がふらつきが大きくテストには好都合かと思います。*4

結果はフィルターなしに比べてとてもスムーズにラインをトレースすることができるようになりました。方向転換時もスムーズに方位が変わります。 バックした際は画面が回転することなく位置のみ後退します。

AgriBus-NAVIには「進行方向平滑化時間」という設定があります。こちらも様々な設定で実験ししました。その結果、より良いレスポンスとローパス性能を追求し、ローパスフィルターを実装するにいたりました。AgriBus-NAVIは様々なGNSSに対応する必要がありますが、Drogger-GPSはDG-PRO1に特化できますのでベストチューニングになっています。

機能の無い従来の状態と、LSS+11cmグランドプレーン有りで比較した動画です。


DG PRO1 LSS + 11cmグランドプレーン

尚、ローパスフィルターを有効にした場合、「進行方向平滑化時間」の設定は0 msecでOKです。

まとめ

AgriBus-NAVIでDG-PRO1をお使いの方はアプリを更新いただき、LSS関連の設定を有効にしてください。 また、ぜひグランドプレーンを設置してみてください。

双方の効果で非常に安定して使いやすくなるかと思います。

実験担当者(大宮路)曰く、「LSS+グランドプレーンはすごくいいです。結構感動的ですよ!」とのことで実際のトラクターでの使用感をお聞きしたいところです。

DG-PRO1で快適なお仕事を!

Enjoy with Drogger

Droggerの詳細・ご購入は https://www.bizstation.jp/ja/drogger/

*1:動画は部屋の中なので 黄色のNO POSマークで位置はFIXしていませんが方位はきちんと受け取って表示してくれました

*2:自動で計測する方法も考えましたが、ウォーキングなどで使う場合は計算すると逆におかしなことになりますのでこのような仕様です

*3:ゆっくりとした(ロー)真の変化のみを通す(パス)フィルター

*4:写真は実験の一部の風景です