Beyond your wall with Drogger

ドロガーで壁を越えよう

RWS/RZSシリーズ SDカードの使い方

ここでは、RWS/RZSシリーズ受信機に搭載されたSDカードの使い方を説明します。

記録できるデータの種類

SDカードに記録できるデータは、受信機から定期的に出力されるNMEAまたはRAWデータです。

対応SDカード

SDカードは MicroSD SDHCタイプに対応します。SDHCは最大32GB FAT32です。以下の記事は、弊社で販売しているMicroSDカードで検証を行っています。*1

脱着

脱着は必ず電源OFFで行ってください。電源ONでの装着はSDカードを認識しません。また、電源ON時での脱着は故障や動作不良の原因になります。

書込みLED

SDカード書込み中の場合、一番右のLEDがデータフラッシュ(書込み)時に一瞬消灯します。フラッシュは、データ量により異なりますが、10秒程度に1回は行われます。

ログサイズ

1つのログの最大サイズは2GBです。最大サイズに達すると自動で新しいファイルに記録されます。

秒間書き込み量の計算

GNSSメッセージ処理はリアルタイムで終える必要があります。そうでないと後続メッセージ処理が間に合わず欠落が発生します。SDカードへの書き込みもその一連の処理に組み込まれます。SDカードへの小さなデータサイズの断続書込みはあまり高速には行えません。 そのため、計測・更新レートが2Hz以上の場合、必要最低限のメッセージに絞る必要があります。RAWデータと同時にNMEAも出力する場合、目安としてNMEAを3Kb/sec以下になるようにします。

NMEAの秒間サイズは次のように計算できます。 秒間サイズ(Kb) = Σ(メッセージごとに 1秒間の出力回数 x サイズ) / 1024

目安として、各メッセージの概ねのサイズとレートを記します。

タイプ 頻度 サイズ例 Byte
GGA 更新レート 88
VTG 更新レート 37
RMC 更新レート 76
GSA 1Hz 200
GSV 1Hz 1609
GLL 更新レート 54
GNS 更新レート 89
HDT 更新レート 16
PSAT_HPR 更新レート 37
PRDID 更新レート 30
PDACM 更新レート 28
PDGRP 更新レート 48
REFPOS RTCM 1005/6 レート 52
PDTRS 更新レート 37

RAWデータ(RAW_OBS, RAW_NAV)は更新レートが2Hz以上の場合、最高2Hzに制限されます。2HzでNMEAメッセージ量が多い場合は実質レートが低下する場合があります。

書込み処理の有無は、Drogger-GPSアプリでRate (Hz)表示が安定しているか確認します。以下は安全に動作する例です。尚、static測位の場合は、常に1Hzで記録されることをお薦めします。

  • 1Hz GGA, PDTRS, REFPOS, RAW_OBS, RAW_NAV (GPS QZS GAL GLO BDS)
  • 4Hz GGA, PDTRS, REFPOS, RAW_OBS(2Hz),RAW_NAV (GPS QZS GAL GLO BDS)
  • 10Hz GGA, RMC, VTG, PSAT_HPR, RAW_OBS(2Hz) (GPS QZS GAL GLO)
  • 10Hz GGA, RMC, VTG, GSV, PSAT_HPR, PDACM (GPS QZS GAL GLO BDS)
  • 10Hz GGA, PDTRS, REFPOS, RAW_OBS(2Hz),RAW_NAV (GPS QZS GAL GLO)

Beidouは出力量を削減するために設定の[Advanced Options]-[Disable Beidou Geo satelites]をONにすることをお薦めします。

スマートバッファーコントロール

データ量が多い場合、入力バッファーに溜まるデータが増えていきます。未処理のデータ量がしきい値に達した場合、以降測位座標などに無関係なGSA、GSVの2種のNMEAとDrogger-GPSのSatelites表示用のバイナリーデータを自動で破棄します。未処理のデータ量がしきい値を下回ると通常の処理に戻ります。この動作は主に大量のデータをSDカードへ書き込みしている際に発動します。処理は、入力バッファーの直後で行われますので、TCP、Bluetooth、シリアル、SDカードなどすべてのインターフェースへの転送が抑止されます。
GSA、GSVを処理する場合は、出力エポックのすべて、または部分的に数メッセージ欠落することがあることを考慮してください。

ロギング

メイン画面の[Logging Control]で[RAW -> SD]または[NMEA -> SD]ボタンで開始できます。
停止は、停止ボタンを押すか電源を切ります。
SDカードへのロギングはBluetooth接続を切っても継続して行われます。

再度Bluetooth接続した際は、「監視モード」で接続し設定を適用しません。ロギングがそのまま継続されます。

NMEA

NMEAの場合は事前に

  1. [設定]-[メッセージ出力]-[SD Message type]で必要なNMEAメッセージを選択します。
RAWデータ

[RAW -> SD]は自動的にOBSとNAVデータが記録されます。RAWデータのファイル名は、セッション名_hh-nn-ss.ubx で生成されます。hhnnssはUTC時刻です。記録レートは更新レートに従いますが最高2Hzです。

自動ロギング開始

前記の方法はアプリの▶ボタンで開始しました。もう一つの方法は、

  1. [設定]-[メッセージ出力]-[レシーバで実行]カテゴリーの[ロギング]をONにします。

この場合、Bluetooth接続と同時に開始されます。設定を受信機に保存している場合は、電源ONと同時に記録が開始されます。この場合のファイル名は日付+開始時刻の組み合わせで生成されます。

データリスト

受信機のSDカードに保存されたデータをDrogger-GPSでリストを表示できます。

  1. [Start]をタップしてBluetooth接続します。
  2. 右上 [...メニュー]-[レシーバ]-[SD Card..]をタップします。

[SD Card Drive]が表示されます。

データのダウンロード

受信機のSDカードに保存されたデータをDrogger-GPSにダウンロードできます。ただ、Bluetooth経由ですので非常に低速で時間がかかります。現実的には10MB程度までとお考えください。それを超えるサイズの場合SDカードスロットのあるPCなどに直接SDカードを挿してアクセスすることをお薦めします。

  1. ダウンロードするファイルを長押しします。
  2. 下向き矢印ボタンをタップします。

ダウンロードが開始され経過が表示されます

ダウンロードしたデータは、Drogger-GPSのデータフォルダーに保存されます。Androidでロギングしたファイルなどど一緒に共有や閲覧などの操作可能です。

尚、ダウンロード中は、NMEAメッセージやRAWデータなど他のデータ転送はTCP、Bluetooth、シリアルなどすべて停止します。他のデータ利用のないタイミングで行ってください。

地殻変動補正と日本のジオイド

カードスロット付モデルの場合、受信機から出力するNMEAのGGAメッセージに地殻変動補正と日本のジオイドを適用できます。適用するには、カードにそれぞれのパラメータファイルをインストールします。インストールされていない場合は適用されません。

パラメータファイルのインストールは、

  1. Drogger-GPSでBluetooth接続します。
  2. [...メニュー]-[レシーバ]-[Semidynamic upload]と[Geoid upload]のそれぞれを実行します。

Uploadには時間がかかりますでの時間に余裕を持って行ってください。Uploadは事前にDrogger-GPS内に最新のパラメータファイルがインストールされている必要があります。無い場合、前記メニューが表示されません。

尚、[設定]-[表示座標系]で[元期へ変換または地殻変動量を補正する]がOFFの場合は、受信機内でも地殻変動補正は行われません。対して、ジオイドはパラメータファイルがインストールされている場合、設定に関わらず日本のジオイドが使用されます。

地殻変動補正と日本のジオイドが適用されているかどうかはDrogger-GPSの[Navigation]画面で確認できます。Drogger-GPSを使用せずにNMEAをハンドリングしている場合は、$PDTRSメッセージを出力することで確認できます。$PDTRSメッセージはGGAの直後に都度出力されます。

$PDTRSメッセージ詳細

フィールド 名前 説明
0 id string $PDTRS $PDTRSメッセージID
1 geoidRcv double 36.6890 受信機が報告したジオイド
2 geoid double 42.2539 GGAに適用したジオイド geoidRcvと異なる場合、日本のジオイドが適用されている
3 marged bool 1 0 : 現在位置の変動量を適用
1 : 基準局と現在位置の変動量の差分を適用
4 dB int 125 緯度の補正量 (sec x 100000)
5 dL int 451 経度の補正量 (sec x 100000)
6 dH int 4562 高度の補正量 (m x 100000)
7 msg string GGA 補正を適用したNMEAメッセージタイプ(複数の場合スペース区切りで列挙)
8 cs char[3] *5B チェックサム
9 CRLF char[2] \r\n CRLF

電源遮断とデータロス

NEMAやRAWデータはバッファーに貯められ、バッファーが一杯になった時点で書込みが行われます。また、書き込み後はファイルをクローズして初めてファイルとして読み取れる状態になります。Drogger-GPSアプリでロギングを正しく停止した場合、バッファーに残ったデータは書き込みされファイルはクローズされます。

しかし、停止されることなく電源が遮断されると、ファイルがクローズされないためデータが記録されなくなってしまいます。そのため、ファームウェアでは5秒ごとにファイルをクローズし、再度オープンする処理を自動で行います。これにより突然の電源遮断で失われるデータの最大量は、5秒間のデータで済みます。

*1:他のSDカードにおいて、秒間書き込み速度が遅い場合がありますのご注意ください