Beyond your wall with Drogger

ドロガーで壁を越えよう

Drogger Processor 三次元網平均計算をする

Drogger Processorである点を複数の電子基準点で基線解析を行った場合、特別な入力をすることなく 三次元網平均計算が行われます。GNSSの基準局を開設する場合などがこれにあたります。

ここからは専門的知識を持った方が測量を行う際に必要なことについて説明します。

網の構成

電子基準点のみを既知点とした場合

2点以上の新点と電子基準点の解析は正しい網で構成する必要があります。網の構成や電子基準点の選択は国土地理院の「電子基準点のみを既知点とした基準点測量マニュアル」をお読みください。正しく網平均計算を行うにはこれに準拠した網である必要があります。

ネットワーク型RTKなどの場合

ネットワーク型RTKなどの場合はDrogger Processor RTK法・ネットワーク型RTK法 測量 - Beyond your wall with Droggerをご覧ください

データ入力

解析結果をそのまま利用できます。通常は特に追加で座標入力等を行う必要はありません。

基線解析を行わずに網平均計算だけを行いたい場合は、三次元網平均計算データの入力を参照してください。

固定点と座標の指定

固定点の指定は、画面左ペインの[点と観測データ]リストで行います。

  1. リストから、固定点にしたい行を右クリックします。
  2. [固定点]をクリックします。

固定点をクリックすると状態が反転します。また、固定点列に*マークが表示されます。

電子基準点との解析を行うと、電子基準点は自動で固定点とマークされます。

  1. 固定点指定した行を右クリックします。

  2. [座標]をクリックします。

  3. 座標を入力し、[OK]をクリックします。

ヒント

  • プロジェクト内の同一の点番号の点も、固定点指定と座標が同時に変更されます。
  • 仮定網の場合、固定点は1つですが、そのほかに既知点がある場合は一旦 固定点にし座標入力をしてから、固定点を解除することで固定点で無い既知点の座標を指定できます。

計算条件の指定

仮定網と実用網の切替

仮定網と実用網の切替は下図のそれぞれのボタンをクリックすることで専用ダイアログが表示され固定点を選択できます。


計算条件は以下の項目を指定できます。

デフォルト値はアンダーラインをつけて示します。

項目 内容 備考
重量 分散・共分散について固定値/基線解析結果の選択
セミダイナミック補正 ON/OFF 電子基準点のみを既知点とする場合はONにします
ジオイド補正 ON/OFF 基線解析結果の場合通常ONにします。OFFの場合標高を使って網平均計算されます
ξ 南北微小回転・η 東西微小回転 ON/OFF 鉛直線偏差推定する場合は共にONにします
α 網鉛直軸微小回転 ON/OFF 水平面の回転推定を行う場合はONにします
S 網のスケールファクター ON/OFF スケールファクター推定を行う場合はONにします

尚、条件の要/不要につきましては弊社では判断できません。専門家にご相談ください。

計算を行う

計算は条件を変更した際に自動で再計算されます。 特別な計算ボタン等はありません。

計算の可否

計算条件に問題がある場合正しい計算はできません。例えば、

  1. 既知点がない
  2. 推定パラメータに対して既知点が不足している
  3. 新点数に対して基線解析結果が不足している

などです。このような場合、結果表の背景がグレーで表示されるとともに、表の下部にエラーの内容が表示されます。

計算結果の表示と印刷

結果は、[網平均]タブのサブパネルに複数のタブで表示されます。

  • 表紙
  • 既知点の座標(元期)
  • 既知点の座標(今期)
  • 新点の座標近似値
  • 基線ベクトル
  • 分散・共分散値
  • 基線ベクトルの平均値
  • 座標の計算結果
  • 新点元期変換
  • 成果表
  • 成果表
  • 斜距離の残差

以下は、座標の計算結果を表示している例です。

地域名、平面直角座標などの指定
地域名、平面直角座標、計算日などの指定は[ファイル]-[プロジェクトオプション]で行えます。

上図の[目的]以下の項目はCommercial ライセンスでのみ表示されます。

セルのコピー
複数のセルを選択し、右クリックで[コピー]を選択すると、データをクリップボードにコピーできます。 コピーされたデータはエクセルの表に同じ配置で貼り付けできます。

印刷
表示された領域を右クリックし[印刷]をクリックし、[現在のタブ]または[すべてのタブ]をクリックします。[すべてのタブ]を選択すると、表紙から結果表までをまとめて印刷できます。 尚、その際、各ページで最後に印刷されたプリンターが使用されます。 [すべてのタブ]コマンドには「降順」「昇順」の2つがあります。印刷後にページの並べ替え作業をしなくて済むよう、印字面が上に出力されるインクジェットプリンターなどでは「降順」を、印字面が下に出力されるレーザープリンターでは「昇順」を選択してください。

[現在のタブ]を選択した場合は、印刷プレビューが表示されます。

複数ページある場合は、プレビューウィンドウ上部の [戻る][進む]ボタンが有効になり、クリックでページを移動できます。

成果のSIMAエクスポート

成果をSIMAフォーマットで出力できます。このSIMAファイルがDrogger GPSでインポートすることができます。

データは、平面直角座標 X Y, H が小数点以下3桁まで出力されます。Hは標高です。

また、ファイルの保存ダイアログで 「成果数値データファイル」形式を選択することで、公共測量 作業規定の基準点測量のフォーマットで出力することも可能です。成果数値データファイルのフォーマットは作業規定の準則に従っています。

重要 成果のSIMAエクスポート はCommercial ライセンスでのみサポートされます。

点検測量

点検測量の詳細は「Drogger Processor 点検測量」をご覧ください。

精度管理表

3次元網平均計算の結果と点検測量の結果は精度管理表に取りまとめられます。精度管理表の主なデータは観測値と網平均結果から自動転記されます。

  • 1, 2級は実用網で3次元網平均の「斜距離の残差」と「許容範囲」が表示されます。(プロジェクトオプションで3, 4級に設定されている場合は表示されません)
  • 3,4級は仮定3次元網平均の欄が表示されます。(仮定網は固定点1点で閉じた網です)

重要 精度管理表 はCommercial ライセンスでのみサポートされます。

印刷とヘッダー項目

精度管理表のヘッダー項目は、[プロジェクトオプション]-[測量簿]タブで行うことができます。
また、永久標識の登録は[標識の週別]タブで行うことができます。

印刷

  1. 精度管理表タブ内の任意の位置を右クリックします。
  2. [印刷]をクリックします。

平均図、観測図、網図、点検計算図 

平均図、観測図、網図、点検計算図の表示印刷ができます。

  • 図形は基本的にすべて自動で作成されます。
  • ラベルはある程度自動で生成・配置されますが、見栄えをよくするためにユーザーが配置し直すことができます。
  • 網図は国土地理院の基本図の上にレイアウトされます。
  • [点検]タブの点検リストのうち[印刷]欄にチェックのついたものが、点検計算図に描かれます。
  • 図によっては本来観測前の計画時に作成するものがありますが、ここでの作図はすべて解析結果に基づくもののみ対応します。

重要 平均図、観測図、網図、点検計算図はCommercial ライセンスでのみサポートされます。

ラベル位置などの変更方法

まず、ラベルなどの位置が変更できるのは、今回追加になった平均図、観測図、網図、点検計算図です。

  1. Waypointタブで図を選択し、[編集]ボタンをクリックします。

    移動可能なラベルがオレンジ色で表示されます。
  2. 移動したいラベル上でマウスの左ボタンを押したままにします。
    ラベルの周囲に点線枠が表示されます。

    3.移動したい位置に枠を移動してマウスのボタンを離します。
  3. すべての移動が完了したら、[編集完了]ボタンをクリックします。

ラベルのほかに、点検計算の電子基準点間閉合差の図では、路線の概略を示す曲線が表示されます。この曲線に4つのコントロールポイントを移動することで曲線の位置やカーブを変更できます。

印刷

  1. 図内の任意の位置を右クリックします。
  2. [印刷]をクリックします。

謝辞

三次元網平均計算の日本測量協会の電算プログラム検定取得にあたって、以下の方々に多大なご協力を賜りました。心よりお礼申し上げます。

  • Space Net http://www9.plala.or.jp/manabu/ 今井様、回転・スケールや検定取得全般について多大なご協力をいただきました。
    (Space Net様ではTSでの厳密網平均(プログラム検定済)を安価で提供されています)
  • かなめ測量 https://www.ksok.co.jp/ 高島様、三次元網平均の概念や基本計算、測量全般において多大なご協力をいただきました。
  • Drogger Processorユーザー様、プログラムの不具合や誤記など多くのご指摘をいただき改善することがきました。
  • 日本測量協会様、日本測量協会様にとっては業務とはいえ細かなプログラムのミスなどをご指摘いただきました。良いプログラムにするために多大なご協力をいただきました。