Droggerを接続する際に、車種別に異なるのがRPM(回転数)信号の取り方です。今までいくつか紹介してきましたが、まとめたものをご案内*1します。
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接続先の種類
回転数を示す信号には以下のものがあります。また合わせて使用するDroggerのケーブル型番を示します。
番号 | 種類 | ケーブル型番 | 形式 | 電圧 | パルス数/回転 |
---|---|---|---|---|---|
1 | パルサー(クランクシャフトポジションセンサー) | SG001 | アナログ | 10 ~ 100V | 1 ~ 24 |
2 | CDIから出るタコメータ用パルス信号 | SG001 | デジタル | 5~12V | 1~2 |
3 | ECUから出るタコメータ用パルス信号 | SPHRCD | デジタル | 5~10V | 1~2 |
4 | ECUから出るCAN信号 | - | - | 5V | - |
5 | イグニッションコイル1次側信号 | SG001 +SG001-1 | アナログ | 12 ~ 400V | 0.5 ~ 2 |
以上5種類ありますが、この中で「 ECUから出るCAN信号」はDroggerに接続することはできません。
接続先の決め方
車種によって適切な接続方法がありますので順に説明します。取り付け車種の仕組みに合わせて適切な方法を選択してください。
パルサー
インジェクション、キャブ車を問わずほとんどの車種で、パルサーからの取得が可能です。パルサーは、クランクシャフトポジションセンサーやCKPなど別の名前で呼ばれることもありますが仕組みなどはほぼ同じものです。
仕組みはローターなどに設けられた突起とセンサーによってパルスを誘電します。多くの場合突起の数が1回転あたりのパルス数になります。キャブ車の場合あまり正確なクランクポジションを必要としないため突起は1~2個程度です。 インジェクション車の場合は 9~24個と数が多くなります。 ケーブルは標準で付属するIGケーブルを使用します。
Droggerは10~100Vで36個までのパルサーに対応できます。(この範囲にないものはほとんどありません)
CDIから出るタコメータ用パルス信号
この信号はNSF100やNSF250などHONDAの電気式の丸形12V駆動のタコメータ用のものです。通常3極のWPCコネクターでタコメータに接続されています。 ケーブルはパルサーと同様に標準で付属するIGケーブルを使用できます。
NSF100でこの信号の出ていないCDIを使用している場合は、パルサーから取ってください。
ECUからのタコメータ用パルス信号
インジェクション車の場合ECUからタコメータ用パルス信号が出ているものがあります。配線図やマニュアルで確認できます。これがある場合はここから取るのが一番正確で安全です。
この方法は、最新のCAN通信のECUでは使えないことが多いため、SPIJCケーブルは廃盤となりました。代わりにパルサーから取る方法に統一したいと思います。
ケーブルは、SPIJCを使用します。 GROMについてはデータロガーコネクターに、SPHRCDを使ってワンタッチで接続できます。
ただ、最新のインジェクション車では複雑な配線を簡素化するために、タコメータへの回転数信号が、CAN(Controller Area Network)による通信で行われるものが出てきています。この場合はインジェクション車であってもタコメータ用パルス信号は出ていません。その場合はパルサーから取るようにします。
イグニッションコイル1次側信号
CDIやフルトランジスタ点火からイグニッションコイルの1次側信号を回転数の信号として取ることができます。
ケーブルは標準で付属するIGケーブルに、SG001-1 IGコイルプライマリーアダプター介して使用します。
レーシングカートなどでパルサーと点火制御が一体化していてパルサー信号を取れない場合はこの方法で接続します。1次側信号は非常に高電圧ですので必ず、IGコイルプライマリーアダプターを介して接続してください。また、接続はコネクタや半田付け絶縁処理をしっかりと行うようにしてください。電圧が高いのでノイズが出ないようにしっかりとした配線が必要です。
ECUから出るイグニッションコイルの1次側信号も取ることができますが、2回転で1パルスのものが多く正確さに欠けるうえにノイズの問題もありますのでお勧めしません。
接続方法
接続はHRC車のWPCコネクター接続できるものを除いて、すべて車両の配線を分岐して行います。分岐の際はコネクターや半田付けを行いしっかりとした絶縁処理をしてください。接触不良や絶縁不良があるとノイズや誤動作の原因になります。
パルサー
パルサーの信号は2本で、うち1本はGNDに繋がっていますので、もう一方を+信号と呼びます。(正確には交流ですので+ -はありません)
+信号の配線色は車両ごとにことなりますので、それぞれの配線図で確認します。
パルサー | IGケーブル |
---|---|
+信号 | 灰 |
ボディーアース | 黒 |
パルサーの信号は、CDI等に接続されていますが、そこでの電力消費が大きい場合正側の波形が乱れ、正しくパルスを幅を測定できないことがあります。そのような場合は灰色・黒色の線を逆に接続し、負側の波形を利用するようにします。Droggerは半波のみ使用しますのでこのような対応が可能です。
CDIから出るタコメータ用パルス信号
この信号は、WPC3Pコネクターから分岐を取ります。
WPC3Pコネクター | IGケーブル |
---|---|
青 | 灰 |
緑 | 黒 |
ECUからのタコメータ用パルス信号
この信号は、ECUからメータユニットの間のどこかで分岐をとります。多くの場合、配線の束ですので専門の技術が必要です。不慣れな方は専門家にお願いするほうが良いかと思います。
HRC GROMは、SPHRCDを使えばカプラーを挿すだけで接続できます。RPM・12V電源・スロットルポジションが接続されます。
イグニッションコイル1次側信号
接続方法は、パルサーの場合と同様に行います。DroggerのIgnコネクターにIGコイルプライマリーアダプターを接続し、それにIGケーブルを接続します。
車種別一覧表
すでに確認している車種の一覧表です。同じ車種で複数の方法がある場合もあります。 また、年式は確認時のものであって前後する年式でも同様なものもあります。
メーカー | 年式 | 車種 | 接続先 | 配線色 | 電圧 | パルス数/回転 | 備考 |
---|---|---|---|---|---|---|---|
HRC | ALL | NSRmini NS50R | パルサ | 青/黄 | 100 | 2 | |
HRC | ALL | NSF100 | パルサ | 青/黄 | 25 | 1 | タコ出力のないCDIの場合 |
HRC | ALL | NSF100 | CDI | 青 | 12 | 1 | WPC3Pコネクタ |
HRC | ALL | NSF250 | ECU | 青 | 12 | 1 | WPC3Pコネクタ |
HRC/HONDA | ALL | GROM 4 5 | パルサ | 青/黄 | 25 | 9 | |
HRC | ALL | GROM 4 5 | ECU | 黄/緑 | 5 | 2 | WPC4Pデータコネクタ |
HRC | ALL | CBR250R | パルサ | 青/黄 | 未確認 | 未確認 | |
HRC | 2017 | CBR250RR | パルサ | 青/黄 | 未確認 | 未確認 | |
HRC | 2007 | CBR1000RR | パルサ | 黄/緑 | 未確認 | 未確認 | |
HRC | 2009-2013 | CBR1000RR | パルサ | 未確認 | 未確認 | 未確認 | |
HRC | CBR600RR | ECU | 黄/緑 | 5 | 2 | ||
HONDA | ALL | NSR50/80/NS50 etc | パルサ | 青/黄 | 100 | 2 | |
HONDA | ALL | XR100モタード | パルサ | 青/黄 | 25 | 1 | |
YAMAHA | YZ85 | IGコイル1次側 | 橙 | 未確認 | 1 | 橙-黒 GND-灰接続 | |
YAMAHA | CygnusX | パルサ | 黒/青 | 20 | 11 | ||
YAMAHA | YZF-R125 | パルサ | 赤 | 20 | 11 | ||
YAMAHA | 2017 | YZF-R6 | パルサ | 灰(Gy) | 未確認 | 未確認 | |
YAMAHA | 2015 | YZF-R1 | パルサ | 灰(Gy) | 未確認 | 22 | |
KAWASAKI | 2014 | Ninja1000 | ECU | 赤/黄 | 10 | 2 |
注意事項
- DroggerのリビジョンがRev1の場合HRCデータロガー用ハーネスは使用できません。ロガーユニットのアップグレードプログラムをご検討ください。
- YZF-R1・CBR250RRなど突起の数が12個以上のパルサーに接続する場合は、リビジョンがRev3以上でなければなりません。Rev1・Rev2の場合はファームウェアのアップデートが必要です。ファームウェアのアップデートはビズステーションまで本体を送りいだたく必要があります。
事例記事
過去に書いた具体的な事例です。
Droggerの詳細・ご購入は https://www.bizstation.jp/ja/drogger/
*1:この記事は製品の紹介記事であって取扱説明書ではありません。ご使用の際は必ず取扱説明書をお読みください