ECUの噴射マップの作成ではA/F値とともに、スロットルポジションセンサーによるアクセル開度の取得が不可欠ですが、今回はスロットルポジションセンサーへの接続の影響と対応について書きたいと思います。
新しいロガーユニットSL002ではA/F・Thポートにアンプが内蔵されました。これにより、スロットルセンサーをロガーユニットにそのまま接続可能になっています。TPセンサーアンプは不要です。
GROMのスロットルポジションセンサーにDroggerを接続した際に問題が発生しました。
なぜGROMで出たのかと言いますと、多くのトップライダーは良い燃料噴射のために、練習時にはスロットルポジションとA/F値などをロギングしマップの修正などをされています。しかし、GROM CUPのレギュレーションは車両に接続しての電気的な情報取得は禁止されているため、レース時はロガーなどを取り外さなければなりません。
ここで問題になったのがロガー接続時の車両への影響です。もし、影響があると練習時に作成したマップが本番時にロガーを外すためにずれてしまう可能性があります。 ずっと付けたままの場合はさほど問題はないのですが。
センサーのしくみ
スロットルポジションセンサーは簡単に言うと抵抗ボリュームです。抵抗値は、GROMの場合、両端で5KΩ、全閉760Ω、全開4.4KΩ位です。両端に5Vを掛けて抵抗の変化を電圧値として読み取っています。
ロガーやECUなど負荷の接続による影響
スロットルポジションセンサーの出力に、例えば入力抵抗が10KΩのロガーやECUなど負荷を接続すると全開時には4.4KΩと10KΩの抵抗を並列に接続したことになります。
そうすると、本来であれば4.4KΩのはずが負荷によって、 1/(1/4400+ 1/10000) = 3055.6Ω に変化します。全閉時も同様に 1/(1/760 + 1/10000) = 706.3Ωになります。 理想は入力抵抗が無限大であることで、それに近いほど変化は少なくなります。上記の10KΩを1MΩで計算し直すと、
- 全閉 1/(1/760 + 1/1000000) = 759.4Ω
- 全開 1/(1/4400 + 1/1000000) = 4380.7Ω
となって1MΩほどであればほとんど影響しなくなることが分かります。
尚、このような負荷の影響大きくでるセンサーはDroggerに接続するものではこのスロットルポジションセンサーだけです。
ECUの学習
ECUは、スロットルポジションセンサーの出力電圧によって、アクセル開度を読み取ります。 しかし電圧変動やセンサーのばらつき・スロットルボディー誤差などによって、同じスロットル開度でもその値は必ずしも一定ではありません。
そこで通常ECUは、個体差を吸収するために全閉時や全開時の実際の値を記憶しそれに基づいて計算するようになっています。これがいわゆるスロットルポジションの学習です。 なので、ロガーによる影響が多少あっても、接続後にECUのリセットや再学習などを行うことで通常は問題ではなくなります。
Droggerでの対応
2017/12/20にRev2をリリースしますが、Rev2ではThrコネクターの入力抵抗が変更になっています。そのためRev1とRev2以降に分けて説明します。
Rev1 または影響を最小限にする必要のある車両
Drogger Rev1のThrコネクターの入力抵抗はおおよそ10KΩで、スロットルポジションセンサーの出力に多少の影響があります。Rev1をお使いの場合は接続後にリセットや再学習をお勧めします。
また、リセットや再学習が困難な場合に影響を低減するスロットルポジションセンサー用のアンプアダプターをご用意しました。GROM CUPなどのために影響が問題になる方はこれをお使いいただければと思います。
TPセンサーアンプは本体ユニットのThrコネクターと外部センサーケーブルの間にワンタッチで取り付けできます。
以下はアダプターの効果です。アダプターを介してDroggerに接続した場合とセンサー単体(無負荷)での電圧の差を確認しました。スロットルポジションセンサーはGROMの新品スロットルボディーを使用しています。画像の赤いクリップのところでDroggerへの接続とセンサー単体を切替えています。
スロットルOFF (2つの画像の赤いクリップのところのピンを見てください)
スロットルフルオープン(2つの画像の赤いクリップのところのピンを見てください)
スロットルOFF、フルオープンのどちらも全く影響しないことがわかります。
SL002 (2022/11/2以降)
新しいロガーユニットSL002ではA/F・Thポートにアンプが内蔵されました。これにより、スロットルセンサーをロガーユニットにそのまま接続可能になっています。TPセンサーアンプは不要です。
SL001 Rev2以降 (2017/12/18以降)
Sl001 Rev2からはThrコネクターの入力抵抗はおおよそ1MΩになりました。ほぼ何の影響もなく接続いただけます。 ただし車両によっては上記のTPセンサーアンプが必要な場合があります。
Rev2でTPセンサーアンプを使用する場合は、本体ユニットのThrコネクターではなくA/Fコネクターを使用します。 その際同時にA/Fを接続する場合はThrコネクターを使用してください。すなわちTPセンサーアンプを使用する場合はThrとA/Fコネクターを入れ替えて使用します。(Thrコネクターにはアンプに必要な電源が供給されないため、電源のあるA/Fコネクターを使用します。)
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