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ドロガーで壁を越えよう

RWS みちびきRTK対応

先日、u-bloxからのアナウンスでF9Pのファームウェアアップデートがありました。FW HPG1.30です。(いままでは1.13) これはみなさんがお使いのRWS製品にも適用可能です。

みちびきRTK対応

みちびきがRTKで使用されるようになりました。これはVRSC開発当初より望んでいたもので待ちに待った改良です。

このみちびきRTK対応によりVRSCではGPS、Galileo、QZSSでL5以外すべてのシグナルを使つてPPP-RTKが可能になりました。

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実際に使用しみるとQZSSが増えただけでなく、RTKのアルゴリズムもPPP-RTKに合わせて改善されたのではないかと感じられます。

また、今回の変更でVRSCでRTCMを生成する場合とGNSS自身で行う場合の性能などの比較が可能になりました。弊社で新しいファームウェアに合わせてVRSCのRTCM生成アリゴリズムを改良しより精度(RMS)とFIX率を高めています。

以下に上記も含め改良された点と、逆に制限された事項をまとめてみます。

改良点

  • CLAS L6D補正データの直接入力
  • SPRTANサポート
  • QZSSがRTKで使用される
  • Beidouのサポート衛星が増えた

それでは一つづつ見ていきます。

CLAS L6D補正データの直接入力

いままでVRSCでは、L6Dメッセージを独自のファームウェアでデコードしてRTCMを生成しレシーバに送っていましたが、 HPG 1.30では直接L6Dメッセージを解釈することができるようになりました。

それによりL6D固有のRTKアルゴリズムなどを利用できるものと思われます。実際の動作をみてみると、FLOAT時の探索範囲がかなり狭められていて静止状態ではゆっくりとした測位結果の移動になっています。RTKというよりPPPに近い感じの動作です。想像ですが、RTK前段のコード測位においても補正を行っているのかも知れません。

また、 SPARTNというCLASよりも粗いローカル情報のデータでもPPP-RTKできるようなりましたので、それと共通のアルゴリズムも含まれそうです。

気になるGalileoE5bですが、F9Pの報告メッセージでは補正適用されているようになっています。しかし、補正情報の一部が使用できない状態の衛星も適用とマークされていてRTK対象とは言い難いものでした。コード測位でクロックや軌道など周波数に依存しない補正をしているものも含まれているかも知れません。

よく見ると以下のように書かれていました。

At the time of this release note, a CLAS solution with ZED-F9P augments GPS L1C/A L2C,QZSS L1 C/A L2C, and Galileo E1B/C

E5bは使っていないようです。

問題はVRSCより性能が良いかどうかです。あまり評価できていない段階ですが微妙な感じであまり大きな差は見られない感じです。VRSCではマウントポイントでRTCMとL6Dの切替が簡単にできます。すぐにどちらも試してみることができます。

ただ、HPG 1.30のCLAS対応では一部の地域(CLASネットワークの境界)では正しくRTCMが生成できていないと思われる不具合が見られました。メーカーにはレポートを上げておりますが修正にF/Wの更新が必要なため現状ではVRSCのままをお薦めします。

SPRTANサポート

SPRTANはCLASににていますがもっと広域でのLバンドでのサービスで精度もCLASよりも落ちます。日本ではサポートされず、米国本土とEUが対象です。

QZSSがRTKで使用される

前述のようにQZSSがRTK補強対象となりました。レシーバの報告メッセージで確認するとちゃんとマーキングされています。確実に摘要されているものと思います。

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しかしながらデータシートでは(QZSSは)補強対象の一覧にはリストされていません。また、基準局でのRTCM出力もQZSSの追加はされていないようです。

Beidouのサポート衛星増

B1~B5とB59~B63の合計10機の静止衛星を対象衛星として加えることができるようになりました。日本ではB1 B2 B3の3機は確実に増えそうです。Beidouの可視衛星はGPSよりも断然多い状態となります。u-bloxでも精度が向上する可能性があるとしています。

悪くなった点

  • 4衛星時の更新レートに低下 RTK 8Hz --> 7Hz PVT 10Hz --> 9Hz
  • MovingBase更新レートの低下 2衛星 8Hz --> 5Hz

更新レートの低下

それぞれ少し更新レートが低下しています。データシートをよく見るとBeidouが含まれると低下が大きくなっています。Beidouのサポート衛星拡大が主な原因のように見えます。この制限は事実上のレートなのか、実際にソフトウェアで制限するものなのか現時点では不明です。

更新レートが重要な用途では評価してから更新いただいた方がよさそうです。

ファームウェアの更新

今回のHPG1.3に合わせて、レシーバ F/W、Drogger-GPSアプリ、VRSC F/Wなどを準備しています。近日中に更新可能にしたいと思います。しばしお時間をいただけたらと思います。

追記、更新プログラムがご用意できました。 https://drogger.hatenadiary.jp/entry/2022/01/07/140847


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