VRSCを発売する前より取り組んでいたのですが、Galileo E5bの観測データを出力できるようなりました。また、そのほかいくつかの改善がされています。
VRSCのファームウェアを1.2.60に更新いただきますと、デフォルトでGalileo E5bが有効になります。(更新方法)
この1.2.60で改良された点を順に説明します。
Galileo E5bとCLAS
E5bという言葉はあまりご存知ない方も多いかと思いますので簡単に説明します。
GPSの場合1つの衛星から複数の周波数の測位用信号が放送されていて、それぞれ L1 L2 L5などと呼ばれています。同様にGalileoも E1 E5b E5a という3種類の周波数が放送されています。
L1とE1、L5とE5aは同じ周波数です。L2とE5bは異なっていて、L2とL5の中間のような周波数です。
DG-PRO1RWSはL5とE5aは受信できませんのでGPSはL1/L2 、GalileoはE1/E5bで2周波を扱うことになります。
しかし、CLASの誤差情報には、E5bが含まれていません。そのため従来までは、E5bの観測データは生成できずGalileoにおいては、E1の1周波しか扱えませんでした。*1
以前にも載せましたが、CLASの対応範囲とDG-PRO1RWSの適応範囲を図にしたのが下のものです。円が重なる部分がRTKで利用できる衛星とシグナル(周波数)です。
更新内容
Galileo E5b対応
VRSCファームウェア 1.2.60では当社オリジナルのアルゴリズムによりGalileo E5bの観測データを生成できるようになりました。これでGalileoも2周波で扱うことができます。
また、RTKに使用できるシグナル数も20~80%*2*3増加します。
CLASデータの精度が良い時は、普通のRTKのようにわずかな時間でFIXするようになります。(CLASのデータの精度も上空の電波環境に応じて、良いときと悪いときがあり一律ではありません。)
今回の対応を上図に反映されてみたのが下の図です。(2022/1/6 追記 最新のRWS F/WではQZSSもサポートされています。)
複数クライアントの正式リリース
以前よりブログでご案内しておりました複数クライアント対応ですが、ベータ版から1.2.60リリース版に移行いたしました。特に目立った不具合もなく推移しています。適用には設定の変更等は必要ありません。ファームウェアを更新いただくのみです。
受信時間の短縮
トンネルなど電波が遮断されたあと、受信の回復に少し時間がかかる場合がありました。内部処理を変更し、回復時間を短縮いたしました。
尚、電源ONからの受信開始にかかる時間は以前と変わりません。
衛星選択の効率化
みちびきの衛星は4つありCLASのデータはすべての衛星から受信できます。逆にどの衛星から受信するのが良いかということにもなります。
Version 1.2.60からはDG-PRO1RWSの衛星航法データを使って常に最も高い位置の衛星を優先するとともにシグナルレベルを見て判断するように改善いたしました。
Ntrip接続持続性の改善
長いトンネルなどで補正データの生成が出来ない場合、RTCMが全く送信されなくなるため、Ntripクライアントが受信タイムアウトしてしまうことがありました。
そこでそういった場合でも、RTCM 1005アンテナポジションだけは出力し続けるようにしました。送信が途切れなくなりますのでNtripクライアントの受信タイムアウトがなく接続持続性が改善されます。
その他
その他、軽微な不具合が修正されています。
E5b対応は大きな進歩ですが、これれからもより良くなるよう改善していきたいと思います。
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