Beyond your wall with Drogger

ドロガーで壁を越えよう

Drogger VRSC ユーザーズガイド

この記事はDrogger VRSCのユーザズガイドです。

はじめに

VRSCはWiFiアクセスポイントBluetoothを備えています。仮想基準局として使用する場合はWiFiアクセスポイントのみ使用します。

VSRCを仮想基準局として使う

VRSCの設定は一切必要ありません。取扱説明書に従い、アンテナと電源を接続しオープンスカイな場所に設置します。

事前の準備としてアプリとファームウェアをVRSCに対応したものに更新します。

  1. Drogger-GPSのアプリを2.5.145以降更新します。
  2. DG-PRO1RWSまたはRWPのファームウェアを1.5.42以降更新します。

DG-PRO1RW(S)またはRWPでVRSCに接続する

Drogger-GPアプリにてVSRCにアクセスするよう設定します。

もし、レシーバの起動設定が有効な場合は、起動設定をデフォルトに戻してから、以下の手順を行ってください。

  1. [設定] ...メニュをタップし、[デフォルトに戻す]をタップします。
  2. [ RTK]-[移動局]をONにします。
  3. [移動局用キャスターホスト]-[Ntrip Caster タイプ]をタップし、[VRSC]を選択します。
  4. 観測手簿・記簿を必要とする場合は、[レシーバーのNripを使う]をOFFにします。
  5. 設定を終了し、[Start]をタップします。

この後、WiFi接続を待つスクリーンが表示され、接続できると通常の画面に戻ります。

RTCM生成されRTKが開始されるまでには最大1分かかります。

[VRSC]と[VRSC/CLAS]の違いについて

上図のオレンジ色の文字でも記していますが、「VRSC」はCLASメッセージをVRSC自身が処理してRTCM形式の補強データに変換しレシーバに送信します。

対して「VRSC/CLAS」はCLASメッセ―ジを生データのままレシーバに送信しレシーバのGNSSモジュールで解析しダイレクトに適用します。

現状、大きな性能差は見られませんが、「VRSC/CLAS」には一部の地域で補正できないバグが見られるため、「VRSC」を選択するようお薦めします。

Moving BaseでVRSCを使う

Moving Baseでお使いの場合は、最初にMoving Baseとして正しく動作するように設定してください。次に、MB Baseで以下の追加の設定をします。

  1. [Drogger-VRSCを使う]をONにします。
  2. [レシーバーのNripを使う]をOFFにします。

「Ntrip Caster タイプ VRSC」で設定される内容

「VRSC ...」を選択にすると以下が自動で設定されます。

  1. 「移動局用キャスターホスト」を ntrip://192.168.4.1:2101/VRSC または ntrip://192.168.4.1:2101/RAW_L6Dにします。ユーザー名とパスワードは空です。
  2. 「WiFiアクセスポイント」の「SSID」をVRSCに、「パスワード」を12345678に設定します。*1
  3. WiFiを備えたレシーバの場合は「レシーバーのNripを使う」をONにします。
  4. アプリ内部でVRSCを使うとマーキングし、Ntrip ClientがVRSCに必要なメッセージを送信するようにします。

観測手簿・記簿について
観測手簿・記簿を必要とする場合は、[レシーバーのNripを使う]をOFFにします。これは補正データから基準局座標を得るためにDrogger-GPSを介した通信を行う必要があるからです。

レシーバWiFiのないモデルやWiFiを使用できない場合

旧モデルのDG-PRO1RWや、MB(Moving Base)として使用する場合は、レシーバのWiFiが使用できません。その場合はAndroid端末のWiFiを使用してVRSCに接続します。

Drogger-GPSは自動的に端末WiFIの接続先をVRSCに切り替えます。

Android 10以上の場合

Android10以上で接続を開始すると以下のダイアログが表示されます。


続いて


ここで[接続]タップするとVRSCに接続されます。

Android 9以下の場合

Android 9以下では特にダイアログは表示されませんが、少しすると、通知に以下の内容が表示されることがあります。

このダイアあログは必ず「はい」を選択してください。いいえを選択するとVRSCへの接続を維持できません。

動作の確認

VRSCの動作状態はLEDにて確認できます。

オレンジLEDと隣のLEDの両方が点灯であれば正常動作中です。 接続してから約1分ほどで両方が点灯状態になります。

オレンジLED (L6D受信とRTCMの状態)

状態 意味
消灯 L6受信なし
点滅 受信中
間欠点滅 受信中 RTCM生成準備中
点灯 受信中 RTCM生成中
2Hz点滅 受信中 データエラー

WiFi LED (オレンジの隣)

状態 意味
消灯 WiFiなし
点滅 WiFi接続中 TCP接続なし
間欠点滅 WiFi接続中 データ受信なし
点灯 WiFi接続中 動作中

また、Drogger-GPSのNtripステータスでも確認できます。 正常にRTCMが受信できると以下のように表示されます。

WiFiトラブルシューティング

VRSCを使う上で特別なことはVRSCがWiFiアクセスポイントであることです。それ以外は特に特別なことはありません。

WiFi接続がうまく行かない場合は、

  1. Drogger-GPSのNtripステータスでNtrip接続を停止してから再度開始します。
  2. それでうまく行かない場合は、VRSCとレシーバの電源を一度切って再度入れ10秒ほど待ってから接続してください。
  3. AndroidのWiFIを使う場合、WiFI機器スキャンの間隔と時間が制限されることがあります。WiFIをOFFにしてから再度ONにすると良い場合があります。また、端末の再起動も有効です。

WiFiアクセスポイントのSSIDとパスワードを変更する

SSIDは「VRSC」の後ろに4文字までの文字を追加できます。パスワードは任意に変更できます。

変更にはAndroid端末とVRSCアプリのインストールが必要です。

尚、変更された場合はVRSCを使う際に、Drogger-GPSで「Drogger-VRSCを使う」の設定とともに、[WiFiアクセスポイント]の[SSID]と[パスワード]も変更後の値に手動で変更する必要があります。

VRSCアプリのインストール

  1. Android端末にて、Playストアを開きます。
  2. 上部の検索窓に「Drogger VRSC」と入力し検索します。
  3. Drogger VRSCを選択し[インストール]をタップします。

VRSCのペアリング

VRSCの電源を入れます。このあと、DG-PRO1RWSなどからWiFi接続は行わないでください。これから使用するBluetoothとWiFiの同時使用に制限があるためです。

  1. AndroidのBluetooth設定にて[新しいデバイスとペア設定する]をタップしVRSCのペアリングを行います。VRSCは「VRSC」と表示されます。

SSIDとパスワードの変更

  1. VRSCアプリを起動します。
  2. [START]ボタンの横に「VRSC」と表示されていることを確認します。「None」と出ていたらペアリングがうまくできていません。ペアリングを確認してください。
  3. [START]をタップします。接続できると、VRSCの文字の左にグリーンのランプが表示されます。
  4. [VRSC上のWiFiアクセスポイント]の項目の右側の矢印アイコンをタップします。
  5. [SSID Suffix for AP]に追加する文字列を[Password for AP]に新しいパスワードを入力します。
  6. 元の画面に戻ります。

これでVRSC本体に設定がされました。VRSCを再起動すると設定が有効になります。

尚、Bluetoothのデバイス名もSSIDと同じ名前に変更されます。

VSRCのファームウェアを更新する

ビズステーションでは必要に応じてVRSCファームウェアの更新を提供します。

ファームウェアは以下の手順で更新できます。

  1. VRSCアプリを起動します。
  2. [START]ボタンの横に「VRSC」と表示されていることを確認します。「None」と出ていたらペアリングがうまくできていません。ペアリングを確認してください。
  3. [START]をタップします。接続できると、VRSCの文字の左にグリーンのランプが表示されます。
  4. [VRSC Firmware]の項目の右側の矢印アイコンをタップします。現在のファームウェアのバージョンと、新しいファームウェアのバージジョンが表示されます。*2
  5. [START]をタップします。

更新には数分かかります。正常に更新できると、Bluetoothが切断され、VRSCが再起動されます。再度Bluetooth接続し、Firmwareバージョンを確認します。


これ以降のドキュメントは、プログラマ・研究者向けの情報です。VRSCを仮想基準局として利用される方は読み飛ばしてください。


L6D/EのRAWデータを取得する

L6D/EのRAWデータの取得をすることができます。RAWデータはCLASやMADOCAのデータを解析して測位に使うためのものです。

フリーの解析ツールなどはほとんどありませので、プログラマや研究者など解析知識がないと利用できません。

RAWデータはリアルタイム通信でVRSC内にログは残りません。出力方法は以下の2種類です。*3

  1. 指定したTCP Serverへ送信 (VRSCはTCP Client)
  2. Bluetooth SPP通信

尚、出力先は上記2つのいずれか一方で両方同時に行うことはできません。

指定したTCP Serverへ送信する

TCP Serverへデータを送信する場合、VRSCはWiFIアクセスポイントではなくWiFiステーション(子機)として動作し、TCP Clientが動作します。

  1. VRSCアプリを起動します。
  2. [START]ボタンの横に「VRSC」と表示されていることを確認します。「None」と出ていたらペアリングがうまくできていません。ペアリングを確認してください。
  3. [START]をタップします。接続できると、VRSCの文字の左にグリーンのランプが表示されます。
  4. [Advanced setteings...]をタップします。
  5. [受信チャンネル]の項目の右側の矢印アイコンをタップします。
  6. [L6D decoding and ...]をOFFにし、元の画面に戻ります。
  7. [Row data output]の項目の右側の矢印アイコンをタップします。
  8. [Tcp client]をタップし、L6DあたはL6Eの出力したメッセージを選択します。
  9. TCP Serverにアクセス可能なWiFiの[SSID]とパスワードを入力します。
  10. TCP Serverの[ホスト]と[ポート番号]を入力し、元の画面に戻ります。

これで設定は完了です。

これらの設定はVRSC本体に保存されます。電源を切って再度入れると、設定が有効になります。

指定したSSIDのWiFiに接続し、TCP Serverへのデータ送信を開始します。

Bluetooth SPPで送信する

Bluetooth を使うと、WindowsなどのPCで仮想シリアル通信でRAWデータを受信できます。VRSCアプリではRAWデータのロギングなどの機能は有していません。

設定は、上記のTCP Serverへ送信する方法とほとんど同じです。上記手順8でTcp clientに代えて[Bluetooth]をタップしメッセージタイプを選択します。

Windows PCなどで仮想シリアルポートを開くと、指定したRAWデータを受信できます。

RAWデータの形式

RAWデータは、L6D/Eのメッセージ250 Byteの前に20Byteのヘッダーとデータの最後にチェックサム2Byteが付加され、合計272Byteのデータです。L6D/Eのメッセージを取り出すには、各メッセージの先頭21バイト目から250バイトを切り出しててください。

VRSCは272Byteのメッセージを1秒に1回 送信します。尚、VRSCが受信した時点で、エラーが検出されたデータは送信されません。

RAWデータエラーチェック

RAWデータに問題がないかは以下のコードでチェックサムを確認できます。引数のdataは272Byteの先頭へのポインタです。lenは272となります。

bool validateChecksum(unsigned char* data, int len)
{
    int CK_A = 0, CK_B = 0, i;
    for (i = 2; i< len -2; ++i)
    {
        CK_A = (CK_A + data[i]) & 0xff;
        CK_B = (CK_B + CK_A) & 0xff;
    }
    return (data[i] == (unsigned char)CK_A) &&  (data[i+1] == (unsigned char)CK_B);
}

説明のないアプリの機能について

VRSCアプリでここに説明していない項目などがあります。それらは、トラブルの際のユーザーサポートや、将来のための機能検証などのためにあります。基本的には変更されないようにお願いいたします。


Enjoy with Drogger

Droggerの詳細・ご購入は https://www.bizstation.jp/ja/drogger/

*1:この値はデフォルト値です。VRSCアプリにて変更可能です。変更した場合はそれに合わせて手動でSSIDとパスワードを設定する必要があります

*2:新しいバージョンが無い場合は、[START]ボタンが表示されません。

*3:先に説明した仮想基準局とRAWデータ出力機能との併用はできません。どちらか一方の選択になります。