Beyond your wall with Drogger

ドロガーで壁を越えよう

Drogger Ntrip Caster

Drogger Ntrip Caster はBizStationの運用するNtrip Casterです。2021/03/30日より公開運用を開始いたしました。 Ntrip Casterは基準局のデータを受け取って、移動局に転送するサーバーです。

従来より、Drogger-GPSには、同様な便利な仕組みとしてP2P通信がありましたが、1対1でしか利用できないことと、基準局側にAndroidが必須という欠点がありました。また、フリーのNtrip Casterは英語での登録が必要だったり、Bannと呼ばれる制限で使えなくなってしまったりと色々使いづらい面がありました。

そこで昨年から当社オリジナルのNtrip Caster の実験をしておりました。数か月に及ぶテストである程度の安定性が確認できましたので、全DG-PRO1RWSのユーザー様が利用できるようにいたしました。

今回はその内容をご紹介します。

サービス概要

利用登録

利用登録は不要です。DG-PRO1RW(S)/RWPのユーザー様はすぐに利用可能です。

料金

当面、実験運用として無料でご利用いただけます。サーバーはクラウドサーバーを使用し費用は弊社で負担いたします。

弊社での全額負担が難しくなった際は、有料サービスに移行する場合があることをあらかじめご了承ください。尚、自動的に有料サービスになるようなことはございませんのでご安心ください。 可能な限り無料でご利用いただけるように工夫していく予定です。

利用可能な方

現状では運用キャパシティーなども考慮し、当社レシーバのユーザー様(具体的には、Drogger-GPSまたはDG-PRO1RWSのNtrip Server)のみを対象とさせていただきます。

1つの基準局に対する移動局の数

特に制限はありません。複数の移動局で1つの基準局を共有できます。

基準局とマウントポイント名

複数の基準局のそれぞれを区別する識別子がマウントポイントです。rtk2goなどでは、自身で名前を決めたりしますが、このサービスでは自動生成です。

名前を自由に決められるようにするには、重複しない様に決めた名前が使えるかチェックするなどの機能が必要です。当社もお客様も、そのような手間を省くために、自動生成とさせていただきました。

生成する名前は、レシーバのBlutoothに割り当てられたMACアドレスの一部分を使用します。レシーバごとに異なるマウントポイント名になります。

この方法により、ほとんど文字入力なしに設定することが可能としました。

基準局の認証

Drogger-GPSまたはDG-PRO1RWSのNtrip Serverを使うことでユーザーを識別し、自動で認証が行われます。マウントポイントとパスワードの入力は不要です。

他のNtrip Serverを使用するには、マウントポイントやパスワードの登録が必要になります。今のところ登録は受け付けておりませんが、将来登録費のみいただく形で利用できるようにすることも検討しています。

データ保護

送信する基準局のデータの保護(パスワード設定)はお客様自身で決めることができます。基準局の設定画面で、クライアントアクセス制限のためのパスワードの指定が可能です。空の場合は、そのデータに誰でもアクセスできることになります。

移動局の認証

移動局のアクセス制限はrtk2goなどと同様にありません。また、Ntrip Clientのプログラムにも制限はありません。Ntrip Client V1.0を備えたプログラムであれば何でもアクセス可能です。

ただし、上記「データ保護」でパスワードが設定されたマウントポイントの場合、そのパスワードの一致を確認します。(ユーザー名は使用されません)

実験目標

当面実験運用です。実験の目標は可用性 99.999%の実現です。1年間での停止時間が5.256 分以内です。これを目標とし改善していきたいと思います。

免責

ビズステーション株式会社は、Drogger Ntrip Caster利用または利用不能によりお客様に発生した損害(直接損害、間接損害、特別損害、付随損害、派生損害、逸失利益を含みますがそれらに限られません)について、一切の責任を負いません。

使い方

設定の前にいつものお決まりですが、「レシーバーの起動設定」をデフォルト設定での起動に戻します。 また、アプリVer 2.5.152以降、並びにDG-PRO1RWSまたはRWPのファームウェアVer 1.5.46以降にします。

さらに、Drogger-GPSの設定で[...メニュー] - [デフォルトに戻す]を行ってから以降に進んでください。

以下の設定を行う際のAndroid端末は、基準局と移動局で異なるものを使用することをお薦めします。Android端末はインターネットにアクセスできる必要があります。アクセスはWiFi/SIMどちらでも構いません。

基準局

[Drogger Ntrip Caster を使う]とすることで、ホスト、ポート番号、マウントポイントを省略できます。

基準局を初めて構築される場合は、基準局のアンテナ位置を指定するをお読みください。

  1. ギアマーク[設定]をタップします。
  2. 右上 [...メニュー]-[デフォルトに戻す]をタップします。
  3. [計測・更新レート]を1Hzにします。
  4. [RTK]-[基準局]をONにします。
  5. [基準局アンテナ位置]をタップし座標と[座標情報]入力します。サーベイインでの指定も可能です。
  6. [基準局用キャスターホスト]をタップします。
  7. [Drogger Ntrip Caster を使う]をONにします。
  8. [都市名] アルファベットで入力します。
  9. このデータに移動局からのアクセス保護を付けたい場合は、[パスワード]を設定します。空の場合は誰でもアクセスできるようになります。

レシーバのNtrip Serverを使いたい場合(Androidなしで運用したい場合)

  1. [レシーバのNtripを使う]をONにします。
  2. 設定の最初の画面に戻り、[WiFiアクセスポイント] - [WiFiアクセスポイントSSID]と[パスワード]を入力します。

動作確認

  1. 設定ができましたら、メイン画面に戻って[Start]をタップします。
  2. [Ntrip status]を有効にします。
  3. Statusに表示された内容を確認します。緑で Runnnig となれば正常です。
  4. マウントポイントに表示された、8文字の名前をメモします。

StatusがRunningで無い場合は、その下に英語でエラーの内容が表示されます。

基準局 Bluetooth名の変更

ここまでできましたら、基準局のBluetoothのデバイス名を変更しておきましょう。移動局と間違えずに済み便利です。

基準局の設定をレシーバに保存する

レシーバのNtrip Serverを使いたい場合(Androidなしで基準運用したい場合)は、設定をレシーバに保存します。

正しく保存できれば、以降レシーバの電源を入れるだけで、自動的にWiFiに接続しDrogger Ntrip Casterに補正データを送信します。

マウントポイント名 命名規則

マウントポイント名はレシーバBluetoothのMACアドレスの一部で以下の8文字です。この値は、すべてのデバイスで一意で変化することはありません。

MACアドレスは以下の手順で確認できます。

  1. Android端末のBluetoothの設定を開きます。
  2. ペアリング済みデバイスの一覧から、基準局レシーバ名の右側のギアマークをタップします。

「Bluetoothアドレス」として示される値がMACアドレスです。

マウントポイント名はコロンを除き最初の2文字+最後の6文字です。

98:F4:AB:1D:59:2A  -->  981D592A

移動局

「Drogger Ntrip Caster を使う」とすることで、ホスト、ポート番号が省略できます。 また、マウントポイントは、基準局のレシーバとBluetoothのペアリングがされていると、一覧から選択し自動入力することが可能です。

  1. ギアマーク[設定]-[RTK]をタップします。
  2. [移動局]をONにします。
  3. [移動局用キャスターホスト]をタップします。
  4. [Drogger Ntrip Caster を使う]をONにします。
  5. [マウントポイント] に基準局で説明した8文字のマウントポイントを入力します。または、... ボタンをタップして一覧から基準局のレシーバを選択します。
  6. [パスワード]に基準局の設定で入力したパスワードを入力します。何も設定していなかった場合は、空のままでOKです。

ヒント
Drogger-GPS以外のクライアントで接続する場合は、ホスト名:ntrip1.bizstation.jp ポート:2101 とします。マウントポイントはDrogger-GPSの場合と同様です。ユーザー名の入力が必須のクライアントの場合 適当な名前(例 aaa)を入れてください。パスワードも基準局で設定していればそれを、そうでなければ適当に入れてください。 ユーザー名とパスワードはDrogger Ntrip Caster側で無視されます。

動作確認

  1. 設定ができましたら、メイン画面に戻って[Start]をタップします。
  2. [Ntrip status]を有効にします。
  3. Statusに表示された内容を確認します。緑で Runnnig となれば正常です。

その他

  • P2Pは従来通り使用できます。
  • すべてがうまくできたら、設定の管理を使ってファイルに保存しておきましょう。いつでもその設定に戻すことができます。

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Droggerの詳細・ご購入は https://www.bizstation.jp/ja/drogger/

RWP 測量での傾斜補正の使い方

以前、DMPの記事で上の画像を載せさせていただいたことがあります。今回は、測量での傾斜補正の具体的な使い方を説明したいと思います。

うまく使っていただくと、傾斜角15°で概ね1~2cm 30°で3~5cm程度の誤差で計測できます。

はじめに

設定の前にいつものお決まりですが、「レシーバーの起動設定」をデフォルト設定での起動に戻します。

また、アプリ並びにDG-PRO1RWSまたはRWPのファームウェア最新にします。

また、Drogger-GPSの設定で[...メニュー] - [デフォルトに戻す]を行ってから以降に進んでください。

DG-PRO1RWSをご利用の方は、標準のアンテナの近くにレシーバを固定しないでください。標準のアンテナにはマグネットが内蔵されているため近くにあるとレシーバの磁気センサーが正しく方位を検出できません。RWPは、アンテナからマグネットを除去しています。

目次

DMP設定

まず、 受信機の取付向きの設定を行います。

RWPまたはRWX(.DC)の場合

  1. [設定]-[ヘッディングと傾斜補正]-[パッケージ]でお使いのモデルを選択します。

前記以外の場合

  1. [設定]-[ヘッディングと傾斜補正]-[パッケージ]で「None」を選択します。
  2. [ボトム面]を設定します。
  3. [前方方向]を選択します。

共通設定

  1. [傾斜補正]をONにします。
  2. [アンテナ取付高さ(m)]にポールの先端からアンテナ底面までの高さ+8mm(位相中心高さ)を入力します。

[方位ローパスフィルター]や[DMPまたはMBコンパス]などその他のDMPの機能はすべてOFFです。

DMPクイック学習を無効にする

DMPクイック学習は低速車両の方位補正用ですので、測量では無効にします。

  1. [設定]-[Advanced options]-[Disbale compass offset learning]をONにします。
  2. 戻って、レシーバの電源を入れBluetooh接続します。
  3. 接続できたら、メイン画面の[...メニュー]-[レシーバ]-[コンパス学習のリセット...]をタップします。
  4. 確認画面で[OK]をタップします。

成功すると、「DMP compass offsets reset success!」と書かれたトーストが画面下部に表示されます。

以上でDMPの設定は終了です。RTK関連の設定はこれを元に行っていただくと良いかと思います。 尚、デフォルトの更新レートは10Hzです。あまりゆっくりですと反応が悪いのでこのレートでの計測が良いかと思います。

DMPセンサーの校正

次に補正の要になるセンサーの校正をします。ここからあとの手順は現場ごとなどこまめに行うとより精度を高めることができます。

注意点

特に重要なのは磁気センサーです。可能な限り磁気に影響を与えるものを取り除きます。

  • 鉄などの磁性体を身に着けていたらすべて外してください。(RWPのグランドプレーンは非磁性ステンレスです)
  • ポールはなるべく体から離して持ってください。スマートフォンもなるべくポールから遠ざけます。
  • 周囲が道路の場合、自動車などの往来がないタイミングを見計らってください。

磁気センサーの角度誤差による補正誤差は下のグラフのようになります。グラフはポール高さ1.5m 傾斜角15°のときの例です。磁気センサーの誤差低減がそのまま、傾斜補正の精度向上につながることがわかります。

ポールを軸にレシーバを回転させる

磁気センサーは、加速度センサーなどと違って、北ならいくつ・南はいくつといったような方角による決まった値がありません。一回転してみないとその場所での北の値などがわからないため最初に学習を行います。

まず、ポールを軸(Z軸)にぐるぐるその場で数回転させます。反対向きの回転も同様に数回まわします。このときレシーバは電源が入っていればよく、Bluetoothは接続していなくてもOKです。 傾斜角が大きい用途の場合は、RWPをポールから外してX軸、Y軸を軸とした回転も行ってください。

レシーバを北に向け垂直にしてリセット

  1. Drogger-GPSでレシーバに接続します。まずRTKがFIXするまで待ちます。
  2. Googleマップの衛星写真を表示し、現在地と真北にある目標物を確認します。(拡大率を下げると目標を決めやすくなります)
  3. メイン画面のDMPの矢印アイコンをタップし、3つのチェックボックスをすべてチェックします。
  4. ポールを水平器などで垂直にするとともに、RWPの前方を真北に向けます。(電池ボックス側面の延長が真北を向くように)
    RWXの場合は、Droggerのロゴ刻印のある面の延長を真北にある目標に向けます

  5. [OK]をタップします。

レシーバを正確に真北に向けることが特に重要です。これが合っていないと傾斜の方角を正しく取得できません。

計測する

では実際の計測です。傾斜補正の用途は大きく分けて2つかと思います。

  1. ポールを垂直にできない場所での計測
  2. ポールを正確に垂直に維持する手間を省くため

1の場合は、計測したいポイントになるべく近いスペースのある場所で、実際に傾ける角度と方角にて精度のテストを行ってください。 2場合は、概ね垂直状態で精度テストを行ってください。

垂直時のポイントを表示する

  1. マップをOpenStreetMapに切り替えます。
  2. ポールを垂直にし、マップ左上のバルーンアイコンをタップしてWaypointログを記録します。
  3. 次に、今度はバルーンを長押しして、[現在のウェイポイントを表示する]にチェックを付けます。

赤色の十字でWaypointが表示されます。

精度の確認

  1. 拡大率を、マップ上部のスケールで0.14m ~0.28m程度にします。
  2. レシーバーを北に向け、垂直位置を確認し、ゆっくりと計測したい場所と同じ方向に傾斜させます。このとき、DMPの方位計を見ながらレシーバが北を向くようにポールを軸に回転させます。

マップスケールからみて誤差が許容範囲内にあるか確認します。問題なければ実際のポイントを計測します。 誤差が大きい場合は、「ポールを軸に数回転させる」からやり直してください。

最後にこの手順で実際に傾斜補正を確認する動画です。

youtu.be

傾斜補正で。測量作業が快適になればと思います。


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Drogger VRSC ユーザーズガイド

この記事はDrogger VRSCのユーザズガイドです。

はじめに

VRSCはWiFiアクセスポイントBluetoothを備えています。仮想基準局として使用する場合はWiFiアクセスポイントのみ使用します。

VSRCを仮想基準局として使う

VRSCの設定は一切必要ありません。取扱説明書に従い、アンテナと電源を接続しオープンスカイな場所に設置します。

事前の準備としてアプリとファームウェアをVRSCに対応したものに更新します。

  1. Drogger-GPSのアプリを2.5.145以降更新します。
  2. DG-PRO1RWSまたはRWPのファームウェアを1.5.42以降更新します。

DG-PRO1RW(S)またはRWPでVRSCに接続する

Drogger-GPアプリにてVSRCにアクセスするよう設定します。

もし、レシーバの起動設定が有効な場合は、起動設定をデフォルトに戻してから、以下の手順を行ってください。

  1. [設定] ...メニュをタップし、[デフォルトに戻す]をタップします。
  2. [ RTK]-[移動局]をONにします。
  3. [移動局用キャスターホスト]-[Ntrip Caster タイプ]をタップし、[VRSC]を選択します。
  4. 観測手簿・記簿を必要とする場合は、[レシーバーのNripを使う]をOFFにします。
  5. 設定を終了し、[Start]をタップします。

この後、WiFi接続を待つスクリーンが表示され、接続できると通常の画面に戻ります。

RTCM生成されRTKが開始されるまでには最大1分かかります。

[VRSC]と[VRSC/CLAS]の違いについて

上図のオレンジ色の文字でも記していますが、「VRSC」はCLASメッセージをVRSC自身が処理してRTCM形式の補強データに変換しレシーバに送信します。

対して「VRSC/CLAS」はCLASメッセ―ジを生データのままレシーバに送信しレシーバのGNSSモジュールで解析しダイレクトに適用します。

現状、大きな性能差は見られませんが、「VRSC/CLAS」には一部の地域で補正できないバグが見られるため、「VRSC」を選択するようお薦めします。

Moving BaseでVRSCを使う

Moving Baseでお使いの場合は、最初にMoving Baseとして正しく動作するように設定してください。次に、MB Baseで以下の追加の設定をします。

  1. [Drogger-VRSCを使う]をONにします。
  2. [レシーバーのNripを使う]をOFFにします。

「Ntrip Caster タイプ VRSC」で設定される内容

「VRSC ...」を選択にすると以下が自動で設定されます。

  1. 「移動局用キャスターホスト」を ntrip://192.168.4.1:2101/VRSC または ntrip://192.168.4.1:2101/RAW_L6Dにします。ユーザー名とパスワードは空です。
  2. 「WiFiアクセスポイント」の「SSID」をVRSCに、「パスワード」を12345678に設定します。*1
  3. WiFiを備えたレシーバの場合は「レシーバーのNripを使う」をONにします。
  4. アプリ内部でVRSCを使うとマーキングし、Ntrip ClientがVRSCに必要なメッセージを送信するようにします。

観測手簿・記簿について
観測手簿・記簿を必要とする場合は、[レシーバーのNripを使う]をOFFにします。これは補正データから基準局座標を得るためにDrogger-GPSを介した通信を行う必要があるからです。

レシーバWiFiのないモデルやWiFiを使用できない場合

旧モデルのDG-PRO1RWや、MB(Moving Base)として使用する場合は、レシーバのWiFiが使用できません。その場合はAndroid端末のWiFiを使用してVRSCに接続します。

Drogger-GPSは自動的に端末WiFIの接続先をVRSCに切り替えます。

Android 10以上の場合

Android10以上で接続を開始すると以下のダイアログが表示されます。


続いて


ここで[接続]タップするとVRSCに接続されます。

Android 9以下の場合

Android 9以下では特にダイアログは表示されませんが、少しすると、通知に以下の内容が表示されることがあります。

このダイアあログは必ず「はい」を選択してください。いいえを選択するとVRSCへの接続を維持できません。

動作の確認

VRSCの動作状態はLEDにて確認できます。

オレンジLEDと隣のLEDの両方が点灯であれば正常動作中です。 接続してから約1分ほどで両方が点灯状態になります。

オレンジLED (L6D受信とRTCMの状態)

状態 意味
消灯 L6受信なし
点滅 受信中
間欠点滅 受信中 RTCM生成準備中
点灯 受信中 RTCM生成中
2Hz点滅 受信中 データエラー

WiFi LED (オレンジの隣)

状態 意味
消灯 WiFiなし
点滅 WiFi接続中 TCP接続なし
間欠点滅 WiFi接続中 データ受信なし
点灯 WiFi接続中 動作中

また、Drogger-GPSのNtripステータスでも確認できます。 正常にRTCMが受信できると以下のように表示されます。

WiFiトラブルシューティング

VRSCを使う上で特別なことはVRSCがWiFiアクセスポイントであることです。それ以外は特に特別なことはありません。

WiFi接続がうまく行かない場合は、

  1. Drogger-GPSのNtripステータスでNtrip接続を停止してから再度開始します。
  2. それでうまく行かない場合は、VRSCとレシーバの電源を一度切って再度入れ10秒ほど待ってから接続してください。
  3. AndroidのWiFIを使う場合、WiFI機器スキャンの間隔と時間が制限されることがあります。WiFIをOFFにしてから再度ONにすると良い場合があります。また、端末の再起動も有効です。

WiFiアクセスポイントのSSIDとパスワードを変更する

SSIDは「VRSC」の後ろに4文字までの文字を追加できます。パスワードは任意に変更できます。

変更にはAndroid端末とVRSCアプリのインストールが必要です。

尚、変更された場合はVRSCを使う際に、Drogger-GPSで「Drogger-VRSCを使う」の設定とともに、[WiFiアクセスポイント]の[SSID]と[パスワード]も変更後の値に手動で変更する必要があります。

VRSCアプリのインストール

  1. Android端末にて、Playストアを開きます。
  2. 上部の検索窓に「Drogger VRSC」と入力し検索します。
  3. Drogger VRSCを選択し[インストール]をタップします。

VRSCのペアリング

VRSCの電源を入れます。このあと、DG-PRO1RWSなどからWiFi接続は行わないでください。これから使用するBluetoothとWiFiの同時使用に制限があるためです。

  1. AndroidのBluetooth設定にて[新しいデバイスとペア設定する]をタップしVRSCのペアリングを行います。VRSCは「VRSC」と表示されます。

SSIDとパスワードの変更

  1. VRSCアプリを起動します。
  2. [START]ボタンの横に「VRSC」と表示されていることを確認します。「None」と出ていたらペアリングがうまくできていません。ペアリングを確認してください。
  3. [START]をタップします。接続できると、VRSCの文字の左にグリーンのランプが表示されます。
  4. [VRSC上のWiFiアクセスポイント]の項目の右側の矢印アイコンをタップします。
  5. [SSID Suffix for AP]に追加する文字列を[Password for AP]に新しいパスワードを入力します。
  6. 元の画面に戻ります。

これでVRSC本体に設定がされました。VRSCを再起動すると設定が有効になります。

尚、Bluetoothのデバイス名もSSIDと同じ名前に変更されます。

VSRCのファームウェアを更新する

ビズステーションでは必要に応じてVRSCファームウェアの更新を提供します。

ファームウェアは以下の手順で更新できます。

  1. VRSCアプリを起動します。
  2. [START]ボタンの横に「VRSC」と表示されていることを確認します。「None」と出ていたらペアリングがうまくできていません。ペアリングを確認してください。
  3. [START]をタップします。接続できると、VRSCの文字の左にグリーンのランプが表示されます。
  4. [VRSC Firmware]の項目の右側の矢印アイコンをタップします。現在のファームウェアのバージョンと、新しいファームウェアのバージジョンが表示されます。*2
  5. [START]をタップします。

更新には数分かかります。正常に更新できると、Bluetoothが切断され、VRSCが再起動されます。再度Bluetooth接続し、Firmwareバージョンを確認します。


これ以降のドキュメントは、プログラマ・研究者向けの情報です。VRSCを仮想基準局として利用される方は読み飛ばしてください。


L6D/EのRAWデータを取得する

L6D/EのRAWデータの取得をすることができます。RAWデータはCLASやMADOCAのデータを解析して測位に使うためのものです。

フリーの解析ツールなどはほとんどありませので、プログラマや研究者など解析知識がないと利用できません。

RAWデータはリアルタイム通信でVRSC内にログは残りません。出力方法は以下の2種類です。*3

  1. 指定したTCP Serverへ送信 (VRSCはTCP Client)
  2. Bluetooth SPP通信

尚、出力先は上記2つのいずれか一方で両方同時に行うことはできません。

指定したTCP Serverへ送信する

TCP Serverへデータを送信する場合、VRSCはWiFIアクセスポイントではなくWiFiステーション(子機)として動作し、TCP Clientが動作します。

  1. VRSCアプリを起動します。
  2. [START]ボタンの横に「VRSC」と表示されていることを確認します。「None」と出ていたらペアリングがうまくできていません。ペアリングを確認してください。
  3. [START]をタップします。接続できると、VRSCの文字の左にグリーンのランプが表示されます。
  4. [Advanced setteings...]をタップします。
  5. [受信チャンネル]の項目の右側の矢印アイコンをタップします。
  6. [L6D decoding and ...]をOFFにし、元の画面に戻ります。
  7. [Row data output]の項目の右側の矢印アイコンをタップします。
  8. [Tcp client]をタップし、L6DあたはL6Eの出力したメッセージを選択します。
  9. TCP Serverにアクセス可能なWiFiの[SSID]とパスワードを入力します。
  10. TCP Serverの[ホスト]と[ポート番号]を入力し、元の画面に戻ります。

これで設定は完了です。

これらの設定はVRSC本体に保存されます。電源を切って再度入れると、設定が有効になります。

指定したSSIDのWiFiに接続し、TCP Serverへのデータ送信を開始します。

Bluetooth SPPで送信する

Bluetooth を使うと、WindowsなどのPCで仮想シリアル通信でRAWデータを受信できます。VRSCアプリではRAWデータのロギングなどの機能は有していません。

設定は、上記のTCP Serverへ送信する方法とほとんど同じです。上記手順8でTcp clientに代えて[Bluetooth]をタップしメッセージタイプを選択します。

Windows PCなどで仮想シリアルポートを開くと、指定したRAWデータを受信できます。

RAWデータの形式

RAWデータは、L6D/Eのメッセージ250 Byteの前に20Byteのヘッダーとデータの最後にチェックサム2Byteが付加され、合計272Byteのデータです。L6D/Eのメッセージを取り出すには、各メッセージの先頭21バイト目から250バイトを切り出しててください。

VRSCは272Byteのメッセージを1秒に1回 送信します。尚、VRSCが受信した時点で、エラーが検出されたデータは送信されません。

RAWデータエラーチェック

RAWデータに問題がないかは以下のコードでチェックサムを確認できます。引数のdataは272Byteの先頭へのポインタです。lenは272となります。

bool validateChecksum(unsigned char* data, int len)
{
    int CK_A = 0, CK_B = 0, i;
    for (i = 2; i< len -2; ++i)
    {
        CK_A = (CK_A + data[i]) & 0xff;
        CK_B = (CK_B + CK_A) & 0xff;
    }
    return (data[i] == (unsigned char)CK_A) &&  (data[i+1] == (unsigned char)CK_B);
}

説明のないアプリの機能について

VRSCアプリでここに説明していない項目などがあります。それらは、トラブルの際のユーザーサポートや、将来のための機能検証などのためにあります。基本的には変更されないようにお願いいたします。


Enjoy with Drogger

Droggerの詳細・ご購入は https://www.bizstation.jp/ja/drogger/

*1:この値はデフォルト値です。VRSCアプリにて変更可能です。変更した場合はそれに合わせて手動でSSIDとパスワードを設定する必要があります

*2:新しいバージョンが無い場合は、[START]ボタンが表示されません。

*3:先に説明した仮想基準局とRAWデータ出力機能との併用はできません。どちらか一方の選択になります。

CLAS テクニカルガイド

CLASを利用したVRSC (仮想基準局(VRS) by CLAS)が発表になりました。また、CLASモジュール内蔵のRWS.DC(M)も発売(2022/10/末)になりました。この記事はVRSC発売時に書かれましたが、ほとんどの部分でRWS.DC(M)も共通です。

このガイドは、CLASの利用に際し、用途の適合性や対応方法などを示すものです。

私どもが実験などで得た知見などを公開することで特性などを理解いただき、良い点を引き出してご利用いただければと思います。

はじめに

VRSCは、DG-PRO1RWSなどとともにRTKを実現するみちびきの CLASを用いた仮想基準局です。RWS.DC(M)は受信機内で同様に仮想基準局を生成し自己利用します。この測位方式のことをPPP-RTK*1と呼びます。

この方式による測位はほとんどの方が未経験です。しくみなどからくる特徴や注意点などをご説明します。

CLASについて

精度

精度は定点 水平̟̟±6cm 垂直 ±12cmです。通常のRTK*2に比べると精度に劣ります。 また、ミスFixする確率も高くなりますので合わせてミスFixの項もご覧ください。

CLASから生成する観測データは完全ではありません。多くのタイミングで概ね問題ありませんが、衛星配置、電離層や大気圏の活動状態などにより特定の地域・時間帯などでFixが得られない場合もあります。

完全性を求める場合は、DG-PRO1RWSなどでの実基準局によるRTKを優先的にご検討ください。

サービス範囲

配信されるデータの範囲は、日本国内のみです。運用局よりサービス範囲が明示されています。海上は近海に限りますのでご注意ください。

配信停止などの情報

CLASデータは運用局のメンテナンスなどで停止や精度劣化などが予定されることがあります。これはNAQUと呼ばれる情報で、内閣府のホームページで公開されています。重要なご利用などの場合は事前にご確認いただく必要があります

ネットワークIDとグリッド

NAQUでは個別のネットワークIDといった表現がされることがあります。以下にネットワークIDとグリッドを示します。誤差情報は、このグリッド・衛星・シグナルといったマトリックスで配信されます。

ネットワークIDは地図上のマーカー の先頭の数字です。例 3-4 3がネットワークIDで4がグリッド番号です。

www.google.com

データセットと初期化時間

CLASデータは毎秒 250byteで30秒で1セットのデータです。最初の250byteには以降(29秒分)のデータの並びなどを示す内容が含まれます。このため、1秒目のデータを受信できないと後に続くデータを処理できません。この仕様から、初期化(RTCMの生成)には受信開始タイミングにより30秒~最大1分かかります。

車などでの移動

自動車などで広範囲に移動する場合は注意が必要です。道路には頭上の構造物(大型看板、歩道橋、高架橋、トンネル、アンダーパスなど)がたくさんあり、それらが1秒目のデータ受信を遮った場合は、そのデータセットは処理できません。また、2~30秒目までのデータの一部でもそのデータセットが無効なこともあります。

高速道路で高架橋が連続する場合などでは、長い距離でRTCMが出力できなくなります。また、長いトンネルなど受信ができない状態の後は、再出力までに時間がかかります

ただし、多少データが古くなってしまいますが、DG-PRO1RWS側では、RTCMの有効時間をデフォルトで1分に設定しています。1分間は新しいデータがなくともRTKを持続します。

VRSCについて

この章で説明するのはVRSCを使ったCLAS測位の仕組みです。RWS.DC(M)などCLAS対応受信機の場合は読み飛ばしてください。

VRSCの主な機能

VRSCでは主に以下の2つのことが行えます。

  • 仮想基準局サーバー
  • QZSS L6D/E 受信機 (RAWデータの出力)(一般的には使用されません。実験・研究といった用途専用です)

RAWデータの出力はBluetoothまたはTCPClientのいずれかを選択できます。尚、仮想基準局サーバー(RTCM生成)とRAWデータ出力の同時実行はサポートされません。いずれか一方のみの実行になります。

VRSC対応する移動局用のレシーバ

VRSCは弊社のRWPまたはDG-PRO1RW(S)でご利用可能です。

他社製のレシーバにて、VRSCで観測データを出力するようにするには、以下の条件を満たす必要があります。尚、弊社ではサポートできませんのでご了承ください。

  • VRSCへのアクセスはNtrip Clientにて192.168.4.1:2101へアクセスする(マウントポイント VRSC、ユーザー名、パスワードは空)
  • u-blox RXM-SFRBX メッセージをVRSCに送信する(GPS, QZSS Galileoのもののみで、それ以外の衛星のものは送信不可)
  • 5秒おきにu-blox NAV-PVTメッセージをVRSCに送信する。(5秒間隔以外はサポート外)
u-blox ZED-F9P HPG1.30以降では、L6DのRAWデータを直接処理できるようになりました。
このF/Wを使ってL6Dを直接処理したい場合はマウントポイントを「RAW_L6D」とすることで生のL6Dデータを受信できます。 (RXM-SFRBXなどの送信は必要)

尚、旧モデルのDG-PRO1RWやMB(ムービングベース)などで使用される場合は、レシーバのWiFiが使用できません。そのため、AndroidのWiFiを使用してVRSCに接続します。AndroidのWiFIでVRSC以外への通信は出来なくなりますのでご注意ください。通常WiFIでの通信の主な目的はRTCMの受信ですので、ほとんどの場合は問題ないかと思います。

WiFIアクセスポイントとBluetooth

VRSCはWiFIアクセスポイントとして動作します。仮想基準局として使用する場合はこのアクセスポイントを通じて通信します。

Bluetoothも装備されていますが、こちらは設定とRAWデータの出力に使用されます。通常の用途でこれを使用する必要はありません。

データの流れ

VRSCとDG-PRO1RWSは下図のように構成されます。

VRSCDG-PRO1RWSWiFiで通信します。2台の本体をすぐ近くに置くようにしてください。野外で障害物がなければ10m程度は離れていても通信可能です。(周囲の電波環境によって変化します)

  • 前モデルのDG-PRO1RWの場合は、WiFiを持たないため図中の[WiFi ST] と[Ntrip Client]はAndroidのDrogger-GPSで実行されます。
  • DG-PRO1RWSをMoving Baseで使用する場合はWiFiをNtripClientとして使用できないため、[WiFi ST] と[Ntrip Client]はAndroidのDrogger-GPSで実行するようにします。
  • レシーバ内蔵WiFiでVRSCに接続するか、Drogger-GPSでVRSCに接続するかは、[レシーバのNtripを使う]で切り替えることができます。

[レシーバのNtripを使う]がOFFの場合の構成は下図のようになります。

仮想基準点と移動体

VRSCはDG-PRO1RW(S)から送信された位置情報の位置を仮想基準点として、その点での観測データ(RTCM)を生成します。移動体の場合、新しい位置が前の点から1kmを超えた場合に仮想点を更新します。
すなわち、1km進むごとに新しい点での観測データが出力されます。

DG-PRO1RW(S)からみると、時々基準局のアンテナ位置が変わることになります。この切替をハンドオーバーと言います。DG-PRO1RW(S)はRTKが切れることもなく、何事も無かったかのようにハンドオーバーします。

CLASの詳細

座標

CLASを用いて得られる座標は、今期座標(現在の座標)です。測量成果や地図などで使用される元期座標にするにはセミ・ダイナミック補正が必要です。

RTKに使われる衛星と信号

CLASで配信される誤差情報の対象衛星と信号に対し、DG-PRO1RW(S)で受信できる対象衛星と信号は完全に一致しているわけではありません。図にすると以下のようになります。


  • オレンジの円: CLASで配信される対象衛星と信号
  • グリーンの円: DG-PRO1RW(S)のRTKで処理できる衛星と信号
  • 両方の円の重なったところがVRSC+DG-PRO1RW(S)で利用可能な信号

VRSCではこの円の重なった、GPS L1/L2 Galileo E1 と今後対応予定のQZSS L1/L2 のRTCMが生成されます。

Galileo E5bはDG-PRO1RW(S)で処理できるものの、CLAS側での配信がありません*3 VRSC最新ファームウェアではGalileo E5bのデータを独自アルゴリズムにより生成可能になりました。詳しくは以下の記事をご覧ください。

drogger.hatenadiary.jp

ZED-F9Pの最新ファームウェアではQZSSもRTKで利用可能になりました。詳しくは以下の記事をご覧ください。

drogger.hatenadiary.jp

ミスFix

RTKにおいて、間違った測位解になることをミスFixと言います。ミスFixは多くの場合、マルチパスなど観測環境によるものがほとんどです。しかし、CLASの場合は実測値ではなく計算値のため、前述の精度と同じ追加の誤差を含んでいます。そのため、通常のRTKに比べミスFixする可能性が高くなります

ミスFixの検知

CLASデータの誤差により偶然にミスFixが発生する場合は、Fix後にレシーバの測位状態をリセットし繰り返し数回Fixさせることで比較的短い時間で異常値かどうかを判断することができます。 Drogger-GPSではWaypointログ機能でこの処理を自動化する予定です。

手動でも、以下の方法でレシーバの測位状態をリセットができます。

  • メイン画面の [... メニュー] - [レシーバ]-[GNSSホットリスタート]をタップします。

農業トラクターのナビなどの場合は、農地内のどこかに検証ポイントなどがを設けると判定が容易にできます。搬送波測位の場合、オープンスカイで搬送波をロックできていればFixが持続します。この特性を利用してFixした時点でミスでないことを判断できれば、その後の測位はミスFixでないと判断できます。

山林での利用

山林では携帯電波の届かないところが多くあります。このような場所でもCLASであれば高精度な測位を行うことが可能です。

樹木下でのVRSC

アンテナの上にある樹木の影響ですが、まずVRSCなどはL6のデジタルデータ受信機です。これは、曖昧さのない受信「できる/できない」のどちらかになります。上空に樹木が繁っている場合はほぼ受信できません。ただ、みちびきの天頂にある衛星は、概ね仰角70°以上にありますので狭い開空でも受信可能です。

このようにCLASを山林で利用するには、上空に樹木のない場所が必要になります。

樹木下でのFIX

VRSCは開けた場所に置き、そこから(VRSCと通信可能な)数メートル先の樹木下を想定します。この場合、問題はDG-PREO1RWSがFIXを得られるかという点になります。これはVRSCに限らず通常のRTKでも難しい問題です。樹木の密度や衛星配置、誤差情報の精度など条件によって差があります。できるだけ、開空場所でFIXさせてから樹木したへFIXを切らさない様に移動することで高精度に測位できる場合があります。

山林内での基準点作成 (境界測量等)

山林内でCLASが活躍するのはこの用途になります。上空は開けた場所に絶対位置精度のある基準点を設けるのに適してします。目的の測位点が樹木に覆われた中にある場合、そこを基準に別の計測方法などと組み合わせて測量可能になります。

実測データ

以下に具体的な観測データを示します。これらのデータは、特に選ばれたものでなくごく普通に取られたデータです。

水平精度

ここでは2つのデータを紹介します。2つとも車に取り付けたアンテナで測位したデータです。

最初の図は、富士スピードウェイでの完全なオープンスカイでのデータです。

下のデータは埼玉でのデータです。非常に強風で車が揺れていたことと、周囲に建物がある場所のため上図よりは悪い結果となってります。西北西側にあった建物等の影響で若干ミスFixが見られます。

FIX率

下図は24時間の観測データで、FIX率は99%以上となっています。

フィールドテスト

車輌(ハイエース)のルーフにVRSCとDG-PRO1RWSの標準アンテナを貼り付けていくつかのポイントを実測した結果です。(その際のWaypointログ

  • レシーバ設定は、Drogger-GPSのデフォルトで、Ntrip Clientのみ基準局に合わせて変更しています。
  • 水平誤差は、VRSCでの計測と弊社の実基準局を使用したRTKでの計測の差としています。
  • Fixまでの時間はDrogger-GPSの「GNSSホットスタート」を実行してからFixedになるまでの時間です。
  • リファレンス基線長は実基準局と計測ポイントまでの距離です。
場所 水平誤差
(cm)
Fixまでの
時間(sec)
リファレンス
基線長
(km)
備考 画像
市街地1 1.491 37 0.30  
市街地2 2.753 121 0.03  
農地 1.955 31 1.50  
山林 5.801 170 8.70 ミスFix
1回あり
山間部道路 3.163 90 9.00  

水平誤差、6cm以内にすべて収まっています。山林での計測において一度ミスフィックスがありました。

まとめ

  • CLASは、通信インフラなしに衛星の電波だけでRTKを可能にします。
  • VRSCは仮想点における観測データを生成するため、アンテナ位置を事前に測量する必要はありません。どこでもすぐに基準局になります。
  • 重要な業務のときは、事前にCLASの運用状況をNAQUで確認しましょう。
  • 仕組み上、通常のRTKに比べてミスFixがおきる可能性が高いことを知っておきましょう。GNSSリセットをうまく使って検出しましょう。

いろいろ難しいことを書いてしまいましたが、オープンスカイなら電源を入れれば普通にすぐにFIXします。是非VRSCやRWS.DC(M)でCLASを!

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*1:VRSCとDG-PRO1RWSによるRTKはPPP-RTKと呼ばれる測位方法です。PPPは高精度単独測位で、各種精密誤差情報を外部から得ることでセンチメートル級の測位を実現する測位方法です。 VRSCによるPPP-RTKは、各種精密誤差情報をみちびきCLASより受信し仮想点における疑似観測データを生成しRTKを行う測位方式です。

*2:実際に衛星信号を観測し、基線長10km以内の基準局を用いたRTK

*3:弊社では内閣府にE5bの配信追加を要望しております。ただ、現状では小さな声に過ぎないと思われます。ご利用者皆様からも内閣府に対し要望していただき実現できれば精度等の向上になります

Drogger-GPS 国土地理院の地図などを使う

Drogger-GPSの地図が従来のGoogleMapに加えてOpenStreetMapが使えるようになりました。また、OpenStreetMap上にタイル画像の地図をレイヤーとして重ねることができます。

タイル画像は http(s)://host/path/{z}{x}{y}[.png|.jpg]形式をホストする国土地理院のサーバーなどを指定できます。

マップの選択

従来通りGoogleMapか新しく追加したOpenStreetMapを選択できます。OpenStreetMapでは任意のレイヤーを追加できます。

レイヤーの選択

レイヤーの選択は、マップ選択の右横のタップします。

レイヤー画面の使い方

GoogleMapの場合

GoogleMapの場合はレイヤーではなく3つの地図の種類から選択できます。左のグリーンのアイコンが付いているものが現在選択されている地図です。

  1. 通常
  2. 衛星写真
  3. 地形図

使用したい形式をタップします。

OpenStreetMapの場合

OpenStreetMapは基本レイヤーにOpenStreetMap標準のマップが表示されます。レイヤーウィンドウでは追加するレイヤーを選択します。

端末のロケールが日本の場合は、国土地理院基本図と空中写真がデフォルトでリストに追加されています。

使用するレイヤーの選択

使用したいレイヤー行をタップします。(複数選択可)タップするたびに有効/無効が反転します。有効な場合、左にグリーンのアイコンが表示されます。

レイヤーの表示順の変更

移動対象レイヤーは背景がグレーになっている行です。右側ので上下できます。リストの上から順に表示されます。

レイヤーの追加

  1. +マークをタップします。

  2. ダイアログの項目を入力して[OK]をタップします。

入力項目の説明
項目 省略可否 説明
Name 不可 レイヤを区別する名前を指定します
Tile server url 不可 xyz形式のタイル画像取得をホストするサーバーのurlを指定します。
(例 https://cyberjapandata.gsi.go.jp/xyz/seamlessphoto/ )
File type (.png or .jpg) 不可 画像形式を指定します。.png または .jpgを指定します。先頭にドットを付けてください
organization 地図の提供している組織を指定します
Copyright url 地図の著作権に関する説明のurlを指定します
Investigator name 地図の調査担当者名を指定します

尚、端末内のオフライン画像をホストする指定はできません。

地図の著作権について

レイヤーに追加される地図については、利用される方自身で地図の著作権についてご確認いただき使用許諾を得てください。特に、画像をコピーしたり転用される際はご注意ください。

Drogger-GPS並びに当社は地図を表示するしくみを提供するものであって、その地図の使用許諾を提供するものではありません。

レイヤーの編集

編集したいレイヤーの行を長押しします。編集ダイアログが開きます。

尚、システムで提供している国土地理院の定義はグレーアウトされ編集できません。

レイヤーの削除

  1. 削除したい行をタップして選択します。(背景をグレーにする)
  2. アクションバーのごみ箱アイコンをタップします。
  3. 確認ダイアログがでますので[OK]をタップします。

レイヤー定義をデフォルトに戻す

レイヤー定義をインストールした状態に戻すことができます。

  1. ...メニューをタップします。
  2. [デフォルトに戻す]をタップします。

その他

OpenStreetMapのオフラインキャッシュ

OpenStreetMapとそのレイヤーで一度表示された地図は端末内にキャッシュされインターネットのない所でも表示できます。

マップの拡大縮小について

マップやレイヤーは、提供される地図によって倍率(ズーム)が異なっています。画像の無い倍率の場合は全く表示されないかぼやけた表示になります。

センチメートルレベルの拡大について

OpenStreetMapで+ボタンで地図を拡大するとセンチメートルレベルでの位置のトラッキングが可能です。

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Drogger-GPS アップデート 2.4.134

久しぶりにDrogger-GPSの更新を行いました。主にRTK移動局での動作についての更新です。

Beepサウンド

RTKがFIXしたときと、FIXでなくなったときにビープ音を鳴らすようにしました。画面を見ていなくても「Fixしたな」とか「Floatか」といったことが音でわかるようになりました。

ビズステーションでもCLAS受信機の開発で利用していて、画面を見なくてもFixしたことがわかってとても便利です。CLASでなくとも、環境の悪い場所での利用には便利かと思います。

f:id:bizstation:20201125182756p:plain:w400

尚、設定画面から戻る際に、Fixしているか否かのキャッシュをクリアします。FIX時に設定画面を出して戻ると必ずFixした時のサウンドが鳴ります。

鳴らない場合は、Androidの「音」で「着信音と通知」の音量をご確認ください。

最低衛星仰角

測位に利用する最低衛星仰角の設定は従来よりありましたが、RTK基準局または移動局の場合、25°未満は25°として処理していました。 今回のリリースではその制限をなくし、設定で入力したとおりの値で動作するように変更いたしました。

RTK基準局または移動局で従来と同じように動作させたい場合は、最低衛星仰角を25°に設定してください。

ステーショナリーモード

単独測位とRTKの両方にて、「Fixed position Rover」という定点観測用のモードを追加しました。RTK Fix時はあまり変わりありませんが、Floatになった際などで動き回る範囲がかなり小さくなります。移動しないことを前提にしていますので、探索範囲が狭められます。

f:id:bizstation:20201125183944p:plain:w400

RTK基準局は従来より自動的に定点観測用のモードです。

単独測位でRAWデータを取る際にも有効です。

移動体ではうまく動作しなくなりますので必ずOFFにしてください。

周波数ごとにRTCMの適用状態を表示

受信状態のグラフでは、衛星番号の後ろに DRなどの文字で、RTCMが適用されていることがわかりました。しかし、L1のみかL2も利用されているかまではわかりませんでした。

今回の更新では、「G1R R」といった感じでL2にも適用されている場合、空白とRを追加で表示します。

f:id:bizstation:20201125185801p:plain:w400

尚、GNSSのファームウェア HPG1.13以上でないと正しく表示されませんので、ファームウェアのバージョンをご確認ください。

CLAS受信機

ほんの少しだけ来年のお話を。

来年は、CLAS受信機を発売いたします。新しい製品は、みちびきのL6D信号の受信し仮想の基準局として動作します。現在販売しているDG-PRO1RWSやRWPとともに利用する形態です。

新しい製品は、CLASで仮想基準局 (Virtual Reference Station by CLAS)を構築するのでVRSCと呼んでいます。インターネットが無くても日本国内どこでもPPP-RTKが利用できます。

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乞うご期待!


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DG-PRO1RWS SBASとみちびきSLAS対応

先日、u-bloxからのアナウンスでF9Pのファームウェアアップデートがありました。FW HPG1.13です。(いままでは1.12)

新機能として、SBASとみちびきSLAS(サブメータ級測位補強サービス)の受信が追加されました。以前からSLASの受信はしていたようですが、補正データとしては適用されていませんでしたがいよいよ実用化されました。

DG-PRO1RWS | ZED-F9P搭載 | 2周波 RTK-GNSS | Bluetooth5.0
¥69,800 (税別 BizStationサイト)
u-blox ZED-F9P GNSSモジュール搭載 2周波 RTK-GNSSレシーバ 。受信チャンネル数184 GPS みちびき(4機フル対応) GLONASS BeiDou Galileo 同時受 ...
詳細・購入 問い合わせ 会社情報
DG-PRO1RWS | ZED-F9P | 2周波 RTK
¥69,800
(税別 BizStationサイト)
u-blox ZED-F9P GNSSモジュール搭載 2周波 RTK-GNSSレシーバ ...

SLAS

かねてより、期待のあったSLASです。SLASはGPSとQZSS(みちびき)衛星での測位精度を向上させるための補強信号です。これを適用することで日本の県庁所在地で1m以下の単独測位精度を実現するものとなっています。尚、RTKでは適用されませんのでその測位精度には関係しません。

SLASが適用された様子

赤色のアンダーラインを引いたDMとついたものがSLASの補強信号が適用されている衛星です。

これを書いている時点ではまだあまり詳しく調べていないのですが、ちょっと試した限りでは仕様どおりGPSとQZSSに補正がかかっています。信号構造としてはSBASと同様DGPSとなっているようです。

まずは使えるようになりましたので、今後詳しく見ていきたいと思います。

あとでご案内する更新を適用いただきますと、SLASはデフォルトでONになります。(OFFにするスイッチは現状設けておりません)

SBAS

F9PはいままでSBASが受信できませんでした。2周波の場合、電離層遅延など電波特性の違いを利用して除去できるものがあります。それもあってすぐにはサポートされなかったかもしれません。

SBASは(satellite-based augmentation system:静止衛星型補強システム)は各国の衛星があり、WAAS(アメリカ)・MSAS(日本)・EGNOS(欧州連合)・GAGAN(インド)などがあります。日本のMSAS(国土交通省)はひまわりから送信されていましたが、2020/04よりみちびきの静止衛星からになったとのことです。

各国のサービス衛星はあるものの、データはその地域での地上局での生成になりますので日本ではみちびきのものを利用することになるかと思います。

今まではSBASの補強がないので、単独測位の時はDGNSSになることありませんでしたが、これからはSBASを受信すると単独測位でも3D DGNSSと表示されるようになります。精度に大きな変化は無いかと思いますが、SLASと合わせてちょっといい気分になります。

単独測位のカタログスペックも 1.5mCEPからSBAS 1.0mCEPが追加されました。

補正適用順位

これでRTCM・SLAS・SBASと3つの補正データが受信できるのですが、優先順位もRTCM --> SLAS --> SBASの順です。上位のデータが適用がされた場合は下位のものはされません。RTKの時はSLASもSBASも適用されません。

アップデート方法

以下の3つすべて更新が必要です。

  1. GNSSモジュール(u-blox F9P)のファームウェア 1.13
  2. レシーバファームウェア 1.5.44以上 (弊社製のDMPや通信制御のファームウェア)
  3. Drogger-GPSアプリ 2.4.110以上

GNSSモジュール(u-blox F9P)ファームウェアの更新

大変申し訳ありませんが、旧モデルのDG-PRO1RWはそのままではレシーバのファームウェア更新ができません。弊社で承っておりますのでご用命いただければと思います。

DG-PRO1RWSまたは拡張モジュール付のDG-PRO1RWは、お客様サイドで行っていただくことが可能です。

u-blox F9Pのファームウェア更新は、WindowsPC(Windows 7以上)で行います。環境が無いなど難しい場合は、旧モデル同様、弊社で承っておりますのでご用命いただければと思います。

更新手順

F9Pの更新の前にレシーバファームウェアとアプリの更新を行います。

事前準備

  1. レシーバ起動設定が有効な場合は、「デフォルト設定で起動」に変更します。(新ファームウェアで、削除された設定項目の適用でエラーが発生し正しく起動しないため) (変更方法)
  2. レシーバファームウェア(DMPや通信制御などを処理するソフトウェア)を最新の1.4.30以上に更新します。(更新方法)
  3. Drogger-GPSアプリを最新の2.4.110以上に更新します。(更新方法)

上記更新ができましたら一度レシーバーの電源を抜いてから入れ直してください。

PCでのBluetoothペアリング

以降はWindows PC (Windows 10推奨)での操作です。

まず、Bluetoothのペアリングを行います。すでにペアリング済みの場合は不要です。2台以上お持ちの場合、更新作業中DG-PRO1RWSは1台のみペアリングしてください。2台以上ペアリングするとどちらに適用すれば良いか不明なためエラーになります。

  1. DG-PRO1RWSに電源を接続します。
  2. [スタート]をクリックし、ギアマークの[設定]をクリックします。
  3. [デバイス]-[Bluetoothとその他のデバイス]とクリックします。
  4. [+Bluetoothまたは他のデバイスを追加する]をクリックします。
  5. [Bluetooth]をクリックします。
  6. DG-PRO1RWSが表示されたらそれをクリックします。
  7. [完了]をクリックします。

更新ツールのダウンロードと実行

それでは、F9Pのファームウェア更新を開始します。DG-PRO1RWS専用の更新ツールを用意いたしたましたので、以下のリンクをクリックしダウンロードし実行します。

https://www.bizstation.jp/DroggerGps/f9p_fw/DG-PRO1RWS_F9P_UPDATE_113.EXE

自動的にBluetooth接続し更新を開始します。「Writeing...」のカウンターが動くまでに数十秒かかりますがそのままお待ちください。

終了すると下図のように「Firmware update success」「更新が完了しました」と表示されます。その後、エンターキーなどを押していただくと画面が閉じます。

更新が成功したら、一度電源を抜いて入れ直します。その後1分ほど待ち再度電源を入れ直してください。この1分で内部の起動ファームウェアが入れ替わります。

所要時間は、数分程度ですが、上図のように黄色の文字で「Sending erase retry for sector xxx」と出ている場合は10分ほどかかる場合があります。

複数台お持ちのお客様は、処理の終わったレシーバのペアリングを削除してから、別のレシーバも同様の手順で更新を行ってください。

失敗例

  1. 画面上部に「Paired DG-PRO1RWS too many」と出た場合、複数のDG-PRO1RWSがペアリングされています。1台のみにして再度実行します。
  2. 画面上部に「There is no Bluetooth paired DG-PRO1RWS.」と出た場合、ペアリングされたDG-PRO1RWSがありません。もう一度ペアリングを行ってください。
  3. Error version poll faild.」と出た場合、Bluetooth通信がうまくできていません。一度レシーバの電源を切って入れ直してから再度実行します。
  4. そのほかにも画面下部に「更新に失敗しました」と出た場合は、エラー内容が表示されていますのでそれに応じて対処します。

更新途中で失敗した場合は、その後正常に動作ができなくなります。また、再更新にも失敗します。その場合は、以下のような手順で対応プログラムにて更新を行ってください。

  1. 電源入れ直し
  2. 30秒~1分後に再度電源入れ直し
  3. 30秒~1分後に以下のプログラムを実行

https://www.bizstation.jp/DroggerGps/f9p_fw/DG-PRO1RWS_F9P_UPDATE_113_9600.EXE

このプログラムはファームウェアの更新途中で電源や通信などの問題で失敗し、ROMブート(セーフモード起動)している状態に対応する更新プログラムです。このプログラムでの更新には25分ほどの時間を要します。

バージョン確認

更新ができましたら、一度レシーバを再起動してDrogger-GPSで接続します。バージョンは下図のように表示されます。


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